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クーリングオフ制度は、消費者が不意打ち的な勧誘を受けた場合に、一定期間内であれば契約を一方的に解除できる制度です。
不動産の購入者が冷静な判断をしないまま契約してしまうと、大きな不利益を受ける可能性があります。
特に、モデルルームや展示会場、喫茶店などで営業担当者から強く勧誘され、その場の雰囲気で契約してしまうケースも少なくありません。
そこで宅建業法では、宅建業者が「自ら売主」となる売買契約において、事務所等以外の場所で申込み・契約をした買主を保護するために、独自のクーリングオフ制度を設けています(宅建業法37条の2)。
この制度は、買主を保護するための重要な制度であり、宅建業者に対する「8種制限」の一つとして規定されています。
根拠条文は、主に、
・宅地建物取引業法37条の2
・宅地建物取引業法施行規則16条の5
です。
この記事では、宅建業者8種制限の一つ「事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等(クーリングオフ)」を解説します。
クーリングオフ制度
不動産取引では、
・強引な勧誘
・長時間の営業
・判断を急がせる説明
などによって、消費者が十分な判断をできないまま契約してしまう危険があります。
そこで宅建業法は、買主保護のために特別ルールとしてクーリングオフ制度を設けています。
民法の定め
契約の原則を定める民法において、一度成立した契約は双方の合意がない限り、片方の都合だけで一方的に解除することはできません。
また、売買の申し込み(購入の意思表示)をした場合、その申し込みが相手方に届いた後は、原則として申込者から一方的に撤回することはできないとされています。
消費者が「だまされた」「強迫された」といった明確な違法性がない限り、後から「やっぱりやめたい」と思っても、違約金などのペナルティなしに白紙に戻すことは極めて困難であるのが民法の基本原則です。
事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等(宅建業法37条の2)
(1) クーリングオフ制度
宅建業法37条の2第1項は、不動産の買主が宅建業者の事務所等以外の場所で買受の申し込み又は売買契約するなど一定の場合に、買主が契約を撤回・解除できることを定めています。
宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主を除く。)は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。
出典:宅建業法37条の2本文
この制度は、
・不意打ち的勧誘
・冷静な判断が困難な環境
で締結された契約から買主を保護することを目的としています。
そのため、買主が十分に検討できる環境で契約した場合には、クーリングオフは認められません。
クーリングオフが認められるためには、次の条件が必要です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 売主 | 宅建業者自身 |
| 契約 | 宅地・建物の売買 |
| 買主 | 一般消費者 |
| 場所 | 事務所等以外の場所 |
| 方法 | 書面による撤回・解除 |
(2) クーリングオフ制度が適用されない「事務所等」(宅建業法37条の2、宅建業法施行規則16条の5)
クーリングオフができるかどうかは、
どこで申込み・契約したか
が最重要ポイントです。
宅建業法、宅建業法施行規則では、クーリングオフができない「事務所等」を次のように定義しています。
事務所等に該当する場所(宅建業法37条の2、宅建業法施行規則16条の5)
下記の①②の事務所については、条文上は成年者である専任の宅建士のがいることが条件とされていないが、これは、そもそも「事務所」である以上、「専任性」「成年者であること」「5人に1人以上」という要件を当然に満たしているためです。
① 自ら売主となる宅建業者の事務所(宅建業法37条の2第1項本文)
最も典型的なのが宅建業者の本店・支店などの事務所です。
ここでは買主が通常、十分な説明を受けたうえで契約すると考えられるため、クーリングオフは認められません。
② 買主から申し出た自宅・勤務先(宅建業法施行規則16条の5第2号)
宅建業者の相手方がその自宅又は勤務する場所において宅地又は建物の売買契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合の、その相手方の自宅又は勤務する場所です。
宅建業者が申し出た場合の、買主の自宅や勤務先は該当しません。
買主自身が、
「自宅で説明してほしい」
「会社で話を聞きたい」
と申し出た場合、その場所は「事務所等」と扱われます。
つまり、この場合はクーリングオフできません。
なお、買主から申し出た場合であっても、喫茶店やホテルのロビーなど落ち着かない場所は「事務所等」に該当しません。
③ 継続的に業務を行うことができる施設(宅建業者の事務所除く)(宅建業法施行規則16条の5第1号イ)
継続的に業務を行うことができる施設(※)
・常設営業所
・常設相談センター
などです。
単なる仮設テントではなく、継続的業務性が必要です。
※ 事務所、継続的に業務を行う施設、一定の案内所等ごとに、業務従事者5人につき1人以上の数の成年者である専任の宅建士がいる施設である必要があります。
④ (建物内)分譲案内所(宅建業法施行規則16条の5第1号ロ)
宅建業者が一団の宅地建物の分譲を案内所(土地に定着する建物内に設けられるものに限る)を設置して行う場合の、その案内所(※)
分譲マンションのモデルルームなどが典型例です。
ただし、
土地に定着した建物内
である必要があります。
そのため、
・移動式プレハブ
・仮設テント
などは原則として該当しません。
※ 事務所、継続的に業務を行う施設、一定の案内所等ごとに、業務従事者5人につき1人以上の数の成年者である専任の宅建士がいる案内所である必要があります。
⑤ 他業者の事務所等(宅建業法施行規則16条の5第1号ハ)
宅建業者が他の宅建業者に対し、宅地又は建物の売却の代理又は媒介の依頼をした場合の、代理又は媒介の依頼を受けた他の宅建業者の事務所又は事務所以外の場所で継続的に業務を行うことができる施設(※)を有するもの。
売主宅建業者が、他の宅建業者に代理・媒介を依頼している場合には、
・依頼先業者の事務所
・継続的業務施設
も「事務所等」に含まれます。
※ 事務所、継続的に業務を行う施設、一定の案内所等ごとに、業務従事者5人につき1人以上の数の成年者である専任の宅建士がいる施設である必要があります。
⑥ 他業者が設置した(建物内)分譲案内所(宅建業法施行規則16条の5第1号ニ)
宅建業者が一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介の依頼をし、かつ、依頼を受けた宅建業者がその代理又は媒介を案内所を設置して行う場合の、その案内所(土地に定着する建物内に設けられるものに限る)(※)です。
※ 事務所、継続的に業務を行う施設、一定の案内所等ごとに、業務従事者5人につき1人以上の数の成年者である専任の宅建士がいる案内所である必要があります。
具体例
A社(売主)が新築マンション分譲を行い、販売をB社に媒介依頼し、B社がマンションギャラリー(案内所)を設置して契約した場合、その案内所は「事務所等」と扱われます。
したがって、買主はクーリングオフできません。
⑦ (建物内)展示会場等(宅建業法施行規則16条の5第1号ホ)
宅建業者(当該宅建業者が他の宅建業者に対し、宅地又は建物の売却の代理又は媒介の依頼をした場合の、代理又は媒介の依頼を受けた他の宅建業者を含む。)が成年の専任の宅建士を置くべき場所(土地に定着する建物内のものに限る。)で宅地又は建物の売買契約の説明をした後、当該宅地又は建物に関し展示会その他これに類する催しを土地に定着する建物内において実施する場合の、これらの催しを実施する場所(※)。
一定の説明を受けた後に開催される、
・展示会
・分譲説明会
なども対象です。
※ 事務所、継続的に業務を行う施設、一定の案内所等ごとに、業務従事者5人につき1人以上の数の成年者である専任の宅建士がいる場所である必要があります。
買受の申込の場所と契約の場所が異なる場合
宅建業法37条の2第1項は、
「事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外で売買契約を締結した買主を除く」
と規定しています。
つまり、
・申込みをどこでしたか
・契約をどこでしたか
の両方を見ますが、優先されるのは「申込み場所」です。
基本ルール
① 申込みが事務所等ならクーリングオフ不可
たとえ契約を
・喫茶店
・ホテル
・自宅
など「事務所等以外」で締結しても、
最初の買受申込みを事務所等で行っていれば、クーリングオフはできません。
これは、
買主は申込み時点で十分に検討する機会があった
と考えられるためです。
② 申込みも契約も事務所等以外ならクーリングオフ可能
例えば、
・喫茶店で申込み
・ホテルで契約
のような場合は、クーリングオフ可能です。
③ 申込みなしで契約のみした場合
実務上は、
・申込みを経ずに直接契約
することもあります。
この場合は、
・契約場所
で判断します。
事務所等以外ならクーリングオフ可能です。
(3) クーリングオフが適用されない場合
① 告知から8日経過した場合(宅建業法37条の2第1項第1号)
宅建業者が、
・申込みの撤回等を行うことができる旨
・申込みの撤回等を行う方法
を書面または電磁的記録(メール等)で告知した日から8日を経過すると、クーリングオフはできなくなります。
宅建業者から「クーリング・オフができる旨およびその方法」を書面で告げられた日(告知日)を1日目としてカウントします。
8日を経過すると、それ以降は解除できませんが、口頭での説明だけではカウントは始まらず、いつでも解除可能です。
② 引渡し+代金全額支払済
買主が、
・物件の引渡しを受け
かつ
・代金を全額支払った
場合、クーリングオフはできません。
※ 引渡しと代金全額支払の両方が完了して初めて適用除外となります。
③ 事務所等で申込みした場合
・申込みを事務所等で行った
時点で、買主は十分な判断機会を得たと考えられます。
そのため、その後に喫茶店などで契約してもクーリングオフできません。
(4) クーリングオフの方法・効果
① 発信主義(宅建業法37条の2第2項)
申込み撤回・契約解除の効力は、買主が書面または電磁的記録(メール等)を発した時点で発生します。
8日目に郵便を発送した場合、
9日目以降に到達しても有効
です。
買主の保護を図っています。
② 原状回復義務と損害賠償請求の禁止(宅建業法37条の2第3項)
・手付金等の全額返還:業者は、受領している手付金や内金を速やかに全額返還しなければなりません。
・違約金請求の禁止:業者は、買主に対して違約金や損害賠償の請求を一切行うことができません。
③ 買主に不利な特約の無効
宅建業法のクーリングオフ規定に反する特約で、買主に不利なものはすべて無効となります。
「クーリングオフ不可」「クーリングオフの期間は告知日から5日間とする」「解除された場合、手付金は返還しない」「解除には違約金50万円」といった特約を契約書に書いても、その特約は法律上なかったものと扱われます。
宅建業者8種制限.不動産クーリングオフ.事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等の典型問題と解説
【問1】宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者Bを買主として、Aの事務所以外の場所である一般の喫茶店において宅地の売買契約を締結した。この場合、Bは宅建業法第37条の2に基づく契約の解除を行うことができる。
解答:×
クーリングオフを含む「宅建業者間の取引(8種制限)」は、買主も宅建業者であるため適用されません。
【問2】宅建業者Aが自ら売主として一団の分譲マンションの販売を行うため、土地に定着する建物内に案内所を設置した。そこへ法律(国土交通省令)で定める数(少なくとも1名以上)を満たす成年者である専任の宅地建物取引士を置いた。買主Bがこの案内所で買受けの申込みをし、後日喫茶店で売買契約を締結した場合、Bは契約の解除をすることができない。
解答:〇
「事務所等」で買受けの申込みをし、それ以外の場所(喫茶店など)で契約を締結した場合、クーリングオフはできません。土地に定着する建物内の案内所で、かつ「成年者であること」および「国土交通省令で定める数(少なくとも1名以上)」の要件を満たす専任の宅建士が置かれている場所は、適法な「事務所等」に該当します。
【問3】買主Bが、宅建業者Aの従業者から勧誘を受けた際、「詳しい説明を自分の勤務先で聞きたい」と申し出た。宅建業者Aの従業者がBの勤務先に出向いて説明を行い、その場で売買契約を締結した場合、Bは契約の解除をすることができない。
解答:〇
買主が自ら申し出た「自宅」または「勤務先」は、客観的に冷静な判断ができる場所とみなされ、「事務所等」に含まれます。したがって、Bは契約の解除ができません。
【問4】宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者ではない買主Bと一般の喫茶店において売買契約を締結する際、Bに対しクーリングオフができる旨およびその方法について書面を交付して告げた。その告知された日を1日目と起算して8日を経過したときは、Bは契約の解除をすることができなくなる。
解答:〇
クーリングオフができる旨の書面告知があった場合、その「告げられた日」から起算して8日を経過すると解除権が消滅します。「告げられた日の翌日」からではなく、「告げられた日(当日)」が1日目となります。
【問5】宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者ではない買主Bと一般の喫茶店において売買契約を締結した。その後、BはAから物件の引渡しを受け、かつ、代金の全部を支払った。この場合、Aからクーリングオフについて書面で告げられてからまだ3日しか経過していなくても、Bは契約の解除をすることができない。
解答:〇
書面告知から8日以内であっても、「物件の引渡し」と「代金の全額支払」の双方が完了した後は、取引が完全に結了したとみなされ、クーリングオフは一切できなくなります。
【問6】宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者ではない買主Bと一般の喫茶店において売買契約を締結した。BがAに対し、クーリングオフによる契約解除の通知を書面で郵送する場合、Aから書面で告知された日から起算して8日目の消印で発送し、Aに到着したのが9日目であったとしても、解除の効力は有効に発生する。
解答:×
クーリングオフの通知は「書面等を発した時(発送時)」に効力が生じます(発信主義)。8日以内に発送していれば、業者への到着が9日目以降になっても有効です。
【問7】宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者ではない買主Bと一般の喫茶店において売買契約を締結した。その後、Bが有効にクーリングオフによる契約解除を行った場合、AはBに対し、速やかに、売買契約の締結に際して受領した手付金その他の金銭を全額返還しなければならない。
解答:〇
クーリングオフが成立した場合、契約は最初からなかったものと扱われます(白紙撤回)。売主である宅建業者は、受領済みの手付金や内金など、名目を問わずすべての金銭を速やかに買主に返還する義務を負います。
【問8】宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者ではない買主Bと一般の喫茶店において売買契約を締結した。その後、Bが有効にクーリングオフによる契約解除を行った場合、AはBに対し、契約解除に伴う損害賠償または違約金の支払を請求することができない。
解答:〇
クーリングオフは買主に認められた無条件の解除権です。損害賠償や違約金の請求、実費の請求も一切禁止されています。
【問9】宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者ではない買主Bと売買契約を締結する際、「クーリングオフによる契約解除の申し出は、書面ではなく必ず口頭で行わなければならない」とする特約を定めた。この特約は、買主Bに不利なものであるため無効となる。
解答:〇
クーリングオフの規定に反する特約で、買主に不利なものはすべて無効となります。法律上、解除は「書面または電磁的記録」で行うと定められており、口頭に限定する特約は買主の権利行使を狭める(不利な)ため無効です。
【問10】宅建業者Aが自ら貸主となり、宅建業者ではないBを借主とする建物の賃貸借契約を、一般の喫茶店において締結した。この場合、Bは宅建業法第37条の2に基づくクーリングオフをすることはできない。
解答:〇
クーリングオフが適用されるのは「宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約」に限定されます。賃貸借契約(貸主・借主の関係)や、その媒介・代理には適用されません。
宅建業者8種制限.不動産クーリングオフ.事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等のひっかけ問題と解説
【問1】宅建業者Aが自ら売主として一団の分譲マンションの販売を行うため、土地に定着する建物内に案内所を設置した。しかし、そこに置いた唯一の専任の宅地建物取引士は、宅地建物取引士証の交付を受けている17歳の未成年者(法定代理人から宅地建物取引業の営みの許可を受けていない者)であった。宅建業者ではない買主Bがこの案内所で買受けの申込みをした場合、Bは契約の解除をすることができない。
解答:×
案内所がクーリングオフの適用対象外(事務所等)となるには、そこに置く専任の宅建士が法律上の「成年者(18歳以上)」でなければなりません。宅建業法上、17歳以下の未成年者は、どれだけ優秀で宅士証を持っていても「専任」の宅建士になることはできません(※法定代理人から営業許可を得ている等の例外を除く)。したがって、本問の案内所は専任の宅士の要件を満たしていないため「事務所等」に該当せず、買主Bはクーリングオフが可能です。
【問2】宅建業者Aが自ら売主として一団の宅地分譲を行うにあたり、現地に屋根付きのテント張りの案内所を設置し、そこに法律(国土交通省令)で定める数を満たす成年者である専任の宅地建物取引士を置いた。宅建業者ではない買主Bがこの案内所で買受けの申込みをした場合、Bは契約の解除をすることができない。
解答:×
法律上、事務所等に該当する案内所は「土地に定着する建物内に設けられるもの」に限られます。テント張りや移動式トレーラーハウスなどは「土地に定着」していないため、どれだけ要件を満たした専任の宅士がいても事務所等に該当せず、クーリングオフが可能です。
【問3】宅建業者Aの従業者が、宅建業者ではない買主Bの自宅を突然訪問して勧誘を行った。Bはその場で契約することに同意し、自宅の応接間で売買契約を締結した。この場合、場所がBの自宅であるため、Bは契約の解除をすることができない。
解答:×
自宅や勤務先が「事務所等(解除不可)」になるのは、買主が「自ら申し出た場合」に限られます。業者が突然押しかけてきて自宅で契約させた場合は不意打ちにあたるため、クーリングオフが可能です。
【問4】宅建業者ではない買主Bが自ら「近くの喫茶店で説明を受けたい」と申し出た。宅建業者Aの従業者がその指定された喫茶店に出向いて説明を行い、その場で売買契約を締結した場合、Bが自ら指定した場所であるため、Bは契約の解除をすることができない。
解答:×
買主が自ら申し出て「事務所等」扱い(解除不可)にできる場所は、「自宅」または「勤務先」の2つだけです。買主が自ら指定したとしても、「喫茶店」や「ホテルのロビー」などは事務所等にはならず、クーリングオフが可能です。
【問5】宅建業者Aが自ら売主となる物件の売却を、他の宅建業者Cに媒介依頼した。Cは本店(事務所)に法律(国土交通省令)で定める数を満たす成年者である専任の宅地建物取引士を置いている。宅建業者ではない買主Bが、この媒介業者Cの事務所で買受けの申込みをし、後日喫茶店で契約を締結した場合、Bは契約の解除をすることができる。
解答:×
売主から代理・媒介の依頼を受けた「他の宅建業者の事務所」も、適法な専任の宅士が置かれているため、買主が冷静に判断できる「事務所等」に該当します。事務所等で申込みをしているため、Bは契約の解除をすることができません。
【問6】宅建業者ではない買主Bは、ホテルのロビー(事務所等以外の場所)で買受けの申込みをし、翌日、宅建業者Aの本店(事務所等)に赴いて売買契約を締結した。この場合、最終的な契約締結場所が「事務所」であるため、Bは契約の解除をすることができない。
解答:×
最初の「買受けの申込み」を事務所等以外の場所(ホテル)で行った場合、その後に契約をどこ(事務所等)で締結したとしても、最初の不意打ち状態の影響が残っているとみなされ、クーリングオフが可能です。
【問7】宅建業者Aは、宅建業者ではない買主Bと一般の喫茶店において売買契約を締結する際、「契約後8日以内であれば無条件で解除できる」旨を口頭で告げ、Bもそれを十分に理解した。この口頭での告知から10日を経過した場合、Bは契約の解除をすることができない。
解答:×
8日間のカウントダウンを始めさせるための告知は、必ず「書面」で行わなければなりません。どれだけ分かりやすく口頭で説明し、買主が納得していても、書面が交付されていない以上、8日の期間は進行しません。したがって10日後でも解除可能です。
【問8】宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者ではない買主Bと一般の喫茶店において売買契約を締結した。BはAから物件の引渡しを受け、手付金と中間金を支払ったが、残代金については未払いの状態である。Aからクーリングオフに関する書面による告知を受けていない場合、Bは契約の解除をすることができない。
解答:×
クーリングオフができなくなるのは、「引渡し」と「代金の全部の支払」の両方が完了したときです。本問では残代金が未払い(一部のみ支払)であるため、まだ条件を満たしておらず、書面告知もないためいつでも解除可能です。
【問9】宅建業者Aと、宅建業者ではない買主Bとの間の売買契約において、「クーリングオフによる契約解除ができる期間は、書面で告げられた日から起算して10日間とする」旨の特約を定めた。この特約は、宅建業法の規定(8日間)と異なる定めであるため、無効となる。
解答:×
無効となるのは「買主に不利な特約」だけです。法定の8日間を「10日間」に延ばす特約は、買主にとって「有利」な特約であるため、無効にはならず有効となります。
【問10】宅建業者Aが自ら売主となり、宅建業者ではない買主Bと一般の喫茶店において売買契約を締結した。その後、Bが有効にクーリングオフを行った場合、Aは受領していた手付金を返還しなければならないが、特約がない限り、受領した日から返還までの期間に応じた法定利息を付して返還する義務はない。
解答:〇
宅建業法第37条の2第3項では、業者は「受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない」とだけ定めており、利息の付加までは義務付けていません(民法の契約解除による利息付加の原則が修正されます)。したがって、特約がない限り利息を支払う必要はありません。
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