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宅地建物取引業(宅建業)を営もうとする者は、まず「免許」を受けなければなりません。
なぜ免許制なのか。それは、不動産という高額な商品を扱う仕事において、知識のない人や不誠実な人が自由に営業できてしまうと、消費者が多大な不利益を被るリスクがあるからです。
免許の仕組みを正しく理解することは、試験対策の第一歩であると同時に、実務における「宅建業者の定義」を理解することにも繋がります。
宅地建物取引業の免許の種類、登録申請先、有効期間、宅建業者名簿、免許証、廃業等の届出について紹介します。
宅建業者免許の種類(3条1項)
宅建業法 第3条1項では、
「宅地建物取引業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所(本店、支店その他の政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置してその事業を営もうとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあつては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。」
として、
事務所を設置する場所(都道府県)によって、国土交通大臣免許か都道府県知事免許のいずれかの免許を受けることを求めています。
- 国土交通大臣免許
・2つ以上の都道府県にまたがって事務所を設置する場合。
(例:東京都に本店があり、神奈川県に支店がある場合など) - 都道府県知事免許
・1つの都道府県内だけに事務所を設置する場合。
(例:大阪府内にのみ1つ、または複数の事務所がある場合など)
「営業エリア」は関係ありません。知事免許であっても、全国どこの物件でも取引(売買や仲介)を行うことが可能です。
あくまで「事務所の場所」が複数の都道府県にあるかどうかで決まります。
複数の営業所があっても、すべての営業所が1つの都道府県内であれば、都道府県知事免許です。
宅建業者免許の申請先
免許を申請する窓口は、受けようとする免許の種類によって異なります。
- 知事免許を受ける場合:その都道府県知事へ直接申請します。
- 大臣免許を受ける場合:主たる事務所(本店)の所在地を管轄する都道府県知事を経由して、国土交通大臣に申請します。
※国土交通大臣に、直接申請するわけではない点に注意しましょう。
法人か個人かに関係なく、事務所の所在都道府県数で申請先が決まります。
宅建業者免許の有効期間、更新手続
免許の有効期間は、大臣免許・知事免許ともに「5年間」です(宅建業法3条2項)。
更新後の免許の有効期間も「5年間」。更新のたびに5年延長です。
- 更新の手続き:有効期間満了の日の90日前から30日前までに行う必要があります(宅建業法3条3項、宅建業法施行規則3条)。
- 有効期間の起算点:免許日の翌日から起算します(宅建業法3条5項)。
- 有効期間の満了日:免許満了日が日曜・祝日であっても、その日で満了します。
(出典:宮城県宅地建物取引業協会)
万が一、更新手続き中に有効期間が過ぎてしまった場合でも、新しい免許が出るまでは前の免許が有効とみなされるため、そのまま営業を続けることができます(宅建業法3条4項)。
この場合の更新後の免許の有効期間の起算は、旧免許の有効期間の満了の日の翌日から起算します(宅建業法3条5項)。
宅建業者名簿の登載事項、変更の届出
宅建業者は、免許権者(国土交通大臣または都道府県知事)によって 「宅建業者名簿」 に登録され、一般の人が閲覧できるようになります。
宅建業者名簿の登載事項(宅建業法8条)
名簿には以下の内容が記載されます。
- 免許証番号・免許年月日
- 商号または名称
- 法人の場合:役員(※)および政令で定める使用人の氏名
- 個人の場合:その者および政令で定める使用人の氏名
- 事務所の名称・所在地
- 事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引士の氏名
- 他に事業を行つているときは、その事業の種類
- 取引一任代理等について国土交通大臣の認可を受けているときは、その旨及び認可の年月日
- 指示処分・業務停止処分の内容・年月日(過去に受けたペナルティ)
※取締役、執行役、理事、その他これらに準ずる者、監査役など。常勤・非常勤の別を問わない。
注意!
- 従業者の氏名
- 役員の住所や専任の取引士の住所
- 宅建士証番号
は、宅建業者名簿には登載されません。
宅建業者名簿の登載事項の変更の届出
宅建業者は、名簿に記載されている事項のうち下記の事項に変更があった場合、30日以内に免許権者へ変更届出 を行う義務があります(宅建業法9条1項)。
- 商号または名称
- 法人の場合:役員および政令で定める使用人の氏名
- 個人の場合:その者および政令で定める使用人の氏名
- 事務所の名称・所在地
- 事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引士の氏名
変更の届け出は、おおむね名称変更があった時ですが、事務所については所在地の変更も届出事項です。
そのため、事務所の新設や廃止、移転があった時も変更の届出が必要です。
ただし、「他に事業を行つているときは、その事業の種類」、いわゆる兼業内容の変更があっても届出は要求されていません。
宅建業者の免許証の変更届
商号など宅建業者の免許申請内容に変更が生じたときは「変更の届出」(宅建業法9条1項)とともに、免許証を添え、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に免許証の書換え交付を申請する必要があります(宅建業法施行規則4条の2第1項)。
また、免許証を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、遅滞なく、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に免許証の再交付を申請しなければなりません(宅建業法施行規則4条の3第1項)。
さらに、免許換えにより免許がその効力を失ったときや、免許を取り消されたとき、亡失した免許証を発見したとき、廃業するときは免許証を返納する必要があります(宅建業法施行規則4条の4)。
※免許の有効期間の満了により免許の効力がなくなったときは免許証の変換は不要です。
宅建業の廃業等の届出(宅建業法11条)
宅建業法11条では、
「第十一条 宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当することとなつた場合においては、当該各号に掲げる者は、その日(第一号の場合にあつては、その事実を知つた日)から三十日以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
一 宅地建物取引業者が死亡した場合 その相続人
二 法人が合併により消滅した場合 その法人を代表する役員であつた者
三 宅地建物取引業者について破産手続開始の決定があつた場合 その破産管財人
四 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合 その清算人
五 宅地建物取引業を廃止した場合 宅地建物取引業者であつた個人又は宅地建物取引業者であつた法人を代表する役員
2 前項第三号から第五号までの規定により届出があつたときは、第三条第一項の免許は、その効力を失う。」
として、
宅建業者が事業をやめたり、一定の重大な変更があった場合に必ず30日以内に届出を行わなければならないとしています。
届出が必要になるケース(宅建業法11条1項)
- 死亡したとき(個人業者の場合)
- 法人が合併により消滅したとき
- 破産手続開始の決定を受けたとき
- 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき
- 廃業したとき(宅建業をやめる)
誰が届出をするのか(11条2項)
● 個人業者が死亡した場合
→ 相続人
● 法人が合併で消滅した場合
→ 合併前の法人(消滅法人)を代表する役員であった者
● 破産の場合
→ 破産管財人
● 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散の場合
→ 清算人
● 廃業の場合
→ 宅地建物取引業者であつた個人または法人を代表する役員
届出の期限
死亡の時:事実を知った日から30日以内
それ以外:その日から30日以内
廃業等の届出
| 届出義務者 | 届出期限 | 免許失効時点 | ||
| 個人事業者 | 法人事業者 | |||
| 死亡 | 相続人 | ー | 死亡を知った日から30日以内 | 死亡時 |
| 合併による消滅 | ー | 消滅会社の代表役員 | 合併消滅から30日以内 | 合併消滅時 |
| 破産手続開始決定 | 破産管財人 | 破産管財人 | 破産手続開始決定から30日以内 | 届出の時 |
| 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散 | ー | 清算人 | 解散から30日以内 | 届出の時 |
| 宅建業を廃業 | 本人 | 代表役員 | 廃業から30日以内 | 届出の時 |
宅建業の免許の種類、登録申請先、有効期間、宅建業者名簿、免許証、廃業等の届出の典型的な問題
【問1】1つの都道府県の区域内にのみ事務所を設置して業を営もうとする場合は、国土交通大臣の免許を受けなければならない。
解答:×
1つの都道府県内なら「知事免許」です。
【問2】2つ以上の都道府県の区域内に事務所を設置して業を営もうとする場合は、主たる事務所の所在地を管轄する知事を経由して、国土交通大臣に免許申請を行う。
解答:〇
大臣免許の申請は、常に「主たる事務所の知事」を経由します。
【問3】免許の有効期間は5年であり、更新の申請は有効期間満了の日の90日前から30日前までに行わなければならない。
解答:〇
90日前から30日前まで。
【問4】免許の更新申請があった場合、有効期間の満了日までに処分がなされないときは、従前の免許は満了日の経過とともにその効力を失う。
解答:×
処分が出るまでは従前の免許が有効です。
【問5】宅地建物取引業者名簿は、一般の閲覧に供しなければならない。
解答:〇
誰でも閲覧可能です。
【問6】事務所の所在地に変更があったときは、30日以内に免許権者に変更の届出をしなければならない。
解答:〇
変更の届出は「30日以内」です。
【問7】免許証を亡失したときは、遅滞なく免許証の再交付を申請しなければならない。
解答:〇
亡失した場合は遅滞なく再交付申請が「義務」です
【問8】宅建業者が死亡した場合、その相続人は死亡を知った日から30日以内に、その旨を免許権者に届け出なければならない。
解答:〇
相続人は「知った日」から30日以内です。
【問9】法人の宅建業者が合併により消滅した場合、その消滅した法人の代表権を有していた役員が、その日から30日以内に届け出なければならない。
解答:〇
合併消滅の場合は「代表役員」が届け出ます。
【問10】廃業の届出がなされた場合、その免許の効力は届出がなされた時に消滅する。
解答:〇
届出によって免許の効力は即時に失効します。
宅建業の免許の種類、登録申請先、有効期間、宅建業者名簿、免許証、廃業等のひっかけ問題と解説
【問1】本店で宅建業を営まず、支店でのみ宅建業を営む場合、支店が1つの県内であれば知事免許でよい。
解答:×
本店は、そこで宅建業を営まなくても、支店で営む以上、常に「宅建業の事務所」とみなされます。本店と支店が別々の県にあれば大臣免許です。
【問2】大臣免許を受けている業者が、事務所の名称を変更したときは、直接国土交通大臣に届出書を提出しなければならない。
解答:×
変更の届出も、常に「知事を経由」して大臣に出します。
【問3】免許の更新を忘れ、有効期間が満了した後に申請したとしても、遅滞なく行えば更新として認められる。
解答:×
1日でも過ぎたら更新は不可。新規免許申請になります。
【問4】専任の宅地建物取引士の「住所」に変更があった場合、変更の届出が必要である。
解答:×
業者名簿に載るのは取引士の「氏名」のみ。「住所」は載りません。一方、取引士資格登録簿には住所も載ります。
【問5】役員が退任し、新たに役員が就任したときは、変更の届出が必要であるが、非常勤の役員であれば届出は不要である。
解答:×
役員は「非常勤」であっても名簿記載事項であり、変更の届出が必要です。
【問6】免許証の記載事項に変更があったときは、書き換え交付を申請しなければならないが、その期間に定めはない。
解答:×
変更の届出(30日以内)と同時に、書き換え交付を申請しなければなりません。
【問7】宅地建物取引業者である法人が、裁判所から破産手続開始の決定を受けた場合、その日から30日以内に、その法人の代表取締役であった者が、その旨を免許権者に届け出なければならない。
解答:×
宅建業者が破産した場合、届出義務者は「代表者」ではなく「破産管財人」です(宅建業法11条1項3号)。
【問8】宅建業者が死亡し、相続人が廃業を届け出た場合、免許は死亡した時にさかのぼって効力を失う。
解答:×
死亡の場合のみ、効力失効タイミングは「死亡時」に遡ります(届出時ではありません)。
【問9】宅地建物取引業者は、免許証を亡失し、その再交付を受けた後において、亡失した免許証を発見したときは、速やかに、発見した免許証を免許権者に返納しなければならない。
解答:〇
免許証を失くして再交付を受けた後、古い免許証が出てきた場合は、重ねて持っておくことはできず、返納する義務があります。
【問10】国土交通大臣又は都道府県知事が備える宅地建物取引業者名簿には、当該業者が過去に受けた「指示処分」や「業務停止処分」の内容、およびその年月日を記載しなければならない。
解答:〇
業者名簿には、免許証番号や事務所の所在地だけでなく、過去に受けた行政処分(指示処分・業務停止処分)の履歴も記載されます(宅建業法8条2項6号、施行規則5条)。
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