宅建士試験講座 宅建業者が自ら売主となる8種制限とは?宅建業法の8種規制一覧でわかりやすく

宅建士(宅地建物取引士)

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不動産取引では、一般消費者に比べて宅建業者のほうが、法律知識や契約実務、取引経験において圧倒的に優位に立っています。

特に、宅建業者が「売主」となって不動産を販売する場合、買主である一般消費者との間には情報量や交渉力に大きな差が生じやすくなります。

そこで宅建業法では、消費者保護の観点から、宅建業者が自ら売主となる取引について、特別な規制を設けています。

この規制が、いわゆる「8種制限(8種規制)」です。

8種制限は、契約解除や手付金、損害賠償、割賦販売など、不動産売買においてトラブルになりやすい重要事項について、宅建業者側に一定の制限を課す制度です。

この記事では、宅建業者が自ら売主となる場合に規制される8種制限とは何か?8種制限趣旨、一覧を簡単にわかりやすく説明します。

個々の8種制限の詳細は別記事にて紹介します。

8種制限とは?

8種制限とは、宅建業者が「自ら売主」となり、宅建業者ではない者(一般消費者など)を買主として行う宅地・建物の売買契約について、宅建業法が設けている8つの特別規制のことです。

根拠条文は、主に宅地建物取引業法第33条の2から第43条までに規定されています。

これらの規制は、買主保護を目的として設けられており、宅建業者に不利な制限を課すことで、取引の公平性を確保しています。

なお、8種制限は、すべての不動産売買に適用されるわけではありません。

適用されるのは、
・建業者が売主
・買主が宅建業者以外
という取引に限られます。

反対に、買主も宅建業者である場合には、原則として8種制限は適用されません。

8種制限の趣旨

8種制限の目的は消費者保護です。

宅建業者は、
・不動産の専門家
・契約書を作成する側
・価格や条件を主導しやすい立場
であるため、一般消費者との間に大きな情報格差、契約交渉力があります。

もし規制がなければ、宅建業者に有利な契約条項が設定され、買主が不当に不利益を受けるおそれがあります。

そのため宅建業法は、
「宅建業者が売主となる場合は、買主が不利にならないよう特別な制限を課す」
という考え方を採用しています。

8種制限の対象となる取引(宅建業法78条2項)

8種制限は、宅建業法78条2項により、宅建業者が自ら売主となる一定の売買契約に適用されます。
なお手付金等の保全については、条文が工事完了前と後で分かれているため、条文は9つありますが、8種制限です。

具体的には、次の8項目です。

1.自己の所有に属しない宅地又は建物の売買(他人物売買)契約締結の制限(宅建業法33条の2)

宅建業者がまだ所有権を取得していない物件について売買契約を締結すると、後に物件を取得できず、買主に損害が生じる可能性があります。

そのため、一定の場合を除き、自己所有でない物件の売買契約には制限があります。

2.事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等(クーリングオフ制度)(宅建業法37条の2、宅建業法施行規則16条の6)

喫茶店や自宅など、事務所場所以外で契約を申し込んだ場合、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。
冷静な判断ができない場所での契約から買主を救済します。

3.損害賠償額の予定等の制限(宅建業法38条)

契約違反(債務不履行)があった際の違約金や損害賠償額の合計を、代金の20%までとする制限です。
高額な違約金を盾に、買主が解約を断念せざるを得ない状況を防ぎます。

4.手付の額の制限等(宅建業法39条)

宅建業者が受け取れる手付金の額を代金の20%以内とし、かつその性質を強制的に「解約手付」とするルールです。
買主が手付金を放棄することで契約解除できる権利を保障します。

5.担保責任についての特約の制限(宅建業法40条)

物件に不具合があった場合の責任(旧:瑕疵担保責任)について、民法より買主に不利な特約を禁止するルールです。
例外として「通知期間を引き渡しから2年以上」とする特約のみ認められます。

6-1.手付金等の保全【工事完了前】(宅建業法41条)

宅地の造成や建物の建築に関する工事が完了する前(未完成物件)において、宅建業者が「手付金等」を受領しようとする場合に課される制限です。
工事が完了していない不安定な状態であるため、後述する完成後物件よりも厳しい基準が設けられています。
原則として、一定額を超える金銭を受け取る前に、銀行等による保証などの措置を講じなければなりません。

6-2.手付金等の保全【工事完了後】(宅建業法41条の2)

すでに工事が完了している(完成物件)の取引に関するルールです。
未完成物件(41条)に比べて物件自体の実体があるため、保全措置が必要となる金額のラインが未完成物件よりも緩和されています。
このように、宅建業法では「完成前」か「完成後」かで、受領できる金額のルールを明確に区別しています。

7.宅地又は建物の割賦販売の契約の解除等の制限(宅建業法42条)

代金の分割払い(割賦販売)において、支払いが遅れたからといって即座に契約を解除することを禁止するルールです。
30日以上の期間を定めて書面で催告する必要があります。

8.所有権留保等の禁止(宅建業法43条)

代金の支払いがある程度進んでいる(代金の30%超を受領等)にもかかわらず、登記を宅建業者名義のままにしておくことを原則禁止するルールです。

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