宅建士試験講座 宅建業者・宅建士等に対する宅建業法の罰則の種類と事由・罰金、両罰規定

宅建士(宅地建物取引士)

[本ページはプロモーションが含まれています]
宅建業法では、宅地建物取引業者(宅建業者)や宅地建物取引士(宅建士)、保証協会、指定試験機関などに対して、多くの義務が課されています。

不動産取引は高額であり、一般消費者に大きな影響を与えるため、法律違反があった場合には厳しい罰則が設けられています。

特に宅建業法では、
・無免許営業
・不正・誇大広告
・重要事項説明違反
・業務停止命令違反
・帳簿・従業者名簿の不備
などについて、拘禁刑・罰金・過料が細かく定められています。

また、法人ぐるみの違反を防ぐために「両罰規定」も置かれており、違反行為をした本人だけでなく、法人そのものにも罰金刑が科される場合があります。

この記事では、宅建業法上の宅建業者・宅建士等に対する罰則について、条文を根拠に整理しながら、どのような違反にどの程度の罰則・罰金が科されるのかを分かりやすく解説します。

宅建業者・宅建士等に対する宅建業法の罰則の種類と事由・罰金

罰則を「重い順」に整理し、どのような行為が対象となるのかを解説します。

🟥 併科(へいか)とは?
拘禁刑(=懲役に相当する自由刑)と罰金刑を同時に科すことができるという意味。

🟥 併科があるのは「自由刑+罰金刑」のセットの条文だけ
併科があるのは次の4つだけ。

罰則 条文
3年以下拘禁刑 + 300万円以下罰金 79条
2年以下拘禁刑 + 300万円以下罰金 79条の2
1年以下拘禁刑 + 100万円以下罰金 80条
6ヶ月以下拘禁刑 + 100万円以下罰金 81条

3年以下の拘禁刑 or 300万円以下の罰金、又はこれらの併科

無免許営業や業務停止命令違反など、宅建業制度の根幹を揺るがす重大違反が対象となります。

(1) 不正手段による免許取得(宅建業法79条1号)
・欠格事由を隠して免許取得
・虚偽経歴で申請
など不正な方法で取得した場合。

(2) 無免許営業(宅建業法79条2号)
宅建業免許を受けずに宅建業を営んだ場合。

(3) 名義貸し(宅建業法79条3号)
宅建業免許を持つ業者が、他人に自己名義で営業させる行為。

(4) 業務停止命令違反(宅建業法79条4号)
監督処分として業務停止命令を受けたにもかかわらず営業を継続した場合。

2年以下の拘禁刑 or 300万円以下の罰金、又はこれらの併科

取引の判断に重大な影響を与える事項について、勧誘時や解除妨害時に「故意に事実を告げなかった(不告知)」場合の罰則です。

対象事由:宅建業法47条1号に掲げる行為(不告知)
契約の勧誘時、または申込みの撤回・解除・債権行使を妨げる目的で、以下の重要事項について故意に事実を告げない(隠す)行為が該当します。

  1. 重要事項説明(35条1項・2項)の該当事項
  2. 供託所等に関する説明(35条の2)の該当事項
  3. 37条書面(37条1項・2項 ※1号の当事者名等を除く)の該当事項
  4. その他、物件の所在、規模、現在・将来の利用制限、環境、交通、対価の額・支払方法、業者の信用など、相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項

1年以下の拘禁刑 or 100万円以下の罰金、又はこれらの併科

仲介手数料に関する明確な禁止ルールを破り、「不当に高い報酬を要求した」場合の罰則です。

宅建業者がその業務に関して、相手方等に対して不当に高額の報酬を要求する行為が該当します。
上限を超える報酬を「受領」した場合は100万円以下の罰金(宅建業法82条2号)ですが、受け取っていなくても、ただ「要求しただけ」でこの1年以下の拘禁刑等の重い罰則が適用されます。

1年以下の拘禁刑 or 100万円以下の罰金

宅建試験の実施機関や、登録講習(5問免除講習)を行う機関の関係者が犯した罪に対する罰則です。

(1) 試験問題の漏洩等(宅建業法80条の2、16条の8第1項)
指定試験機関の役員や職員(宅建士試験委員含む)が、試験問題を事前に漏らしたり、不正な採点を行ったりした場合です。

(2) 試験事務・講習業務の停止命令違反(宅建業法80条の3、16条の15第2項、17条の14)
国土交通大臣から業務停止を命じられた指定試験機関や登録講習機関の役員・職員が、その命令を無視して業務を行った場合です。

6ヶ月以下の拘禁刑 or 100万円以下の罰金、又はこれらの併科

不当な広告や営業開始のルール違反、および強引な契約誘引手法に対する罰則です。

(1) 営業保証金供託前の営業開始(宅建業法81条1号、25条5項26条2項)
免許を受けてから、営業保証金を供託所に供託した旨の「届出」をする前に、フライングして営業を開始した場合です。

(2) 誇大広告等の禁止違反(宅建業法81条1号、32条)
宅地建物の位置や規模、価格などについて、著しく事実に相違する表示や、実際よりも優良・有利であると誤認させる広告(おとり広告など)を行った場合です。

(3) 不当な履行遅延の禁止違反(宅建業法81条1号、44条)
登記や引渡し、手付金の返還などを、正当な理由なくわざと遅らせた場合です。

(4) 業務に関する禁止事項に違反して手付貸付け等による誘引行為(宅建業法81条2号、47条)
手付金について貸付けその他信用の供与をすることにより、契約の締結を誘引する行為(いわゆる手付貸付けの禁止)が該当します。「お金が足りないなら手付金を貸しますよ」「後払いでいいですよ」と言って無理に契約を迫る行為です。

100万円以下の罰金(宅建業法82条1号~8号)

主に「嘘の書類提出」「ルールを無視した取引・運営」「保証協会や手付金関連の命令違反」に対して科される刑事罰です。

1号:免許申請書等の虚偽記載をして提出した者(宅建業法82条1号)
免許申請書(宅建業法4条1項)や、その添付書類(宅建業法4条2項)に嘘の事実を書いて役所に提出した場合です。
過去に犯罪を犯して免許を受けられない「欠格事由」があるにもかかわらず、「過去に犯罪歴なし」と嘘をついて免許をもらおうとする行為がこれに当たります。

2号:無免許の表示・広告の禁止、名義貸しの引受禁止、専任宅建士の設置義務、報酬額制限に違反した者(宅建業法82条2号)

  • 無免許の表示・広告の禁止(宅建業法12条2項)
    まだ免許を受けていない(または失効した)無免許の者が、「宅建業を営んでいる」という看板や標識を掲げたり(表示)、営業する目的でチラシやネットで物件の広告を出したりする行為です。
    「まだ免許の申請中だけど、先に広告だけ出してお客さんを集めよう」といったフライング行為を厳しく禁止しています。
  • 名義貸しの引受禁止(宅建業法13条2項)
    宅建業者が、他人に自分の名義を貸して「宅建業を営んでいる」という旨の看板(表示)を出させたり、営業目的の広告(チラシやネット掲載など)をさせたりする行為です。
  • 専任宅建士の設置義務(宅建業法31条の3第3項)
    事務所等に置くべき「成年者である専任の宅建士」(※5人に1人以上の割合)が不足した(欠けた)にもかかわらず、2週間以内に必要な補充などの措置を講じなかった場合です。
  • 報酬額制限(宅建業法46条2項)
    国土交通大臣が定めている上限(限界値)を超える報酬(手数料)を実際に受け取った場合です。

3号:不正な手段による保全機関の指定を受けた者(宅建業法82条3号)
手付金等を預かって保全するビジネスを行う機関(銀行や保管事業者など)が、嘘の申請をして国から指定を受けた場合です。

宅建業法82条3号の「指定」の対象となるのは一般の宅建業者ではなく、銀行等の金融機関や、国から認められた特別な法人(手付金等保管事業者)です。
では、なぜこれが宅建業法の罰則に規定されており、具体的にどのような事態を想定しているのかを解説します。
1.この規定が想定している具体的なシチュエーション
この規定は、宅建業者ではなく「手付金等を預かって保全するビジネス(保全機関・保管機関)をやりたい会社」が、国(国土交通大臣)を騙して指定を勝ち取ったケースを想定しています。
具体的には以下のような不正行為です。

  • 資産や資本金の偽装:十分な財産がないにもかかわらず、嘘のバランスシート(財務諸表)を提出して、国から「手付金を安全に保管できる優良な機関である」と嘘の指定を受けた。
  • 役員の経歴詐称:過去に不祥事を起こして保全機関の役員になれない人物(欠格事由該当者)がいるのを隠して申請した。

2.なぜ「宅建業法」の中に書かれているのか?
「銀行や保管機関の法律(銀行法など)で処罰すればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、これには宅建業法特有の理由があります。

  • 「手付金等保全制度」自体が、宅建業法が作った仕組みだから
    • 宅建業法41条、41条の2では、業者が自ら売主となる取引において、一般の消費者から大金を預かる前に「保全措置」を講じることを義務づけています。
    • その保全先となる「指定保証機関」や「指定保管機関」の認可基準や運営ルールも、すべて宅建業法の中に規定されています。
  • 「だまされた器(仕組み)」の法律で処罰するため
    • 宅建業法という法律の仕組みを悪用して、不正に「指定」という地位を手に入れた者が現れたため、それを直接取り締まるペナルティとして、宅建業法第82条3号にこの罰則が組み込まれています。

4号:手付金等保証事業者の目的外営業の原則禁止規定に違反して手付金等保証事業以外の事業を営んだ者(宅建業法82条4号)
指定を受けた保証機関が、認められている保証事業以外の事業を勝手に営んだ場合です。

5号:保証委託契約の締結の規定に違反して保証委託契約を締結した者(宅建業法82条5号)
保証機関や保証協会が、国交大臣の承認を受けていない不適切な内容で保証委託契約を結んだ場合です。

6号:国土交通大臣が、手付金等保証機関や宅地建物取引業保証協会の業務運営を正しく行わせるために発した「業務改善命令」や「監督上の命令」に違反した者(宅建業法82条6号)
一般の宅建業者に対する命令違反ではなく、宅建業法第5章の2等に規定される「保証協会や保全・保管機関」という公的な組織が、国土交通大臣の強力なトップダウン命令(監督命令)を無視したケースを想定しています。

7号:手付金等保管事業者の目的外営業の原則禁止規定に違反して手付金等保管事業者以外の事業を営んだ者(宅建業法82条7号)
指定を受けた保管機関が、認められている保管事業以外の事業を営んだ場合です。

8号:事業方法書によらないで手付金等保管事業を営んだ者(宅建業法82条8号)
保管機関が、あらかじめ国交大臣の認可を受けている「事業方法書」のルールを無視して保管事業を営んだ場合です。

50万円以下の罰金(宅建業法83条、83条の2)

宅建業法83条1項の50万円以下の罰金

1号:宅建業者の変更の届出、案内所等の設置の届出、指定保証機関の登録事項等の変更の届出、信託会社が宅建業を営む旨の届出の怠り又は虚偽の届出をした者

2号:37条書面の交付義務、報酬額の掲示義務、従業者証明書の携帯・提示義務、標識の掲示義務に違反した者

3号:正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らした宅建業者や従業者
この罪は「告訴がなければ公訴を提起することができない(親告罪)」(第83条2項)となっています。

3号の2:従業者名簿の不備、未記載、又は虚偽の記載をした者

4号:業務に関する帳簿の不備、未記載、又は虚偽の記載をした者

5号:指定流通機構、指定保証機関、宅建業者から行政への不報告、虚偽報告、資料の不提出、又は虚偽資料を提出した者

6号:指定流通機構、指定保証機関、宅建業者に対する検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

7号:寄託金保管簿の不備、未記載、若しくは虚偽記載、又は寄託金保管簿を保存しなかつた者

宅建業法83条の2の50万円以下の罰金

この罰則は、一般の宅建業者や宅建士ではなく、宅建試験を実施する「指定試験機関(不動産適正取引推進機構など)」や、5問免除の講習を行う「登録講習機関」の役員や職員(指定試験機関等の役員等)が義務を怠った場合に科される刑事罰です。

1号:試験や講習の運営状況を記録する帳簿の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつた

2号:指定試験機関、登録講習機関から国土交通大臣への報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した

3号:指定試験機関が国土交通大臣の許可なしで試験事務の全部を廃止、又は登録講習機関が国土交通大臣への届出なしに講習業務の全部を廃止したとき

30万円以下の過料(宅建業法85条)

指定流通機構(レインズ)による国土交通大臣の監督命令違反(宅建業法85条)
国土交通大臣が、指定流通機構の「業務の適正な実施を確保するため必要がある」と認めて下した監督上の命令に、指定流通機構が違反した場合です。

指定流通機構は、宅建業法50条の3第1項に基づき、主に以下の重要な業務を行う組織です。

  1. 専任媒介契約等に係る宅地・建物の「物件登録」に関すること
  2. 登録された物件情報を、宅建業者に対して定期的に、または依頼に応じて「提供」すること
  3. その他、情報の統計作成や取引の適正化・円滑化を図る業務

20万円以下の過料

登録講習機関の財務諸表等の不備、未記載、閲覧請求を拒否した者(宅建業法85条の2)
登録講習機関は、毎事業年度経過後3ヶ月以内に、その事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに事業報告書を作成し、5年間登録講習機関の事務所に備え置く義務があります(宅建業法85条の2第1項)。

登録講習を受けようとする者その他の利害関係人は、次に掲げる請求ができます。

  1. 財務諸表等が書面で作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
  2. 前号の書面の謄本又は抄本の請求
  3. 財務諸表等が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を国土交通省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
  4. 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であつて国土交通省令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求

10万円以下の過料(宅建業法86条)

宅建士証の返納・提出義務違反、重要事項説明時の提示違反、名称の使用制限違反など比較的軽微な違反に対する行政罰です。

  1. 宅建士証の返納・提出義務違反(宅建業法22条の2第6項、7項):宅建士の登録が削除されたのに宅建士証を返さなかったり、事務禁止処分を受けたのに速やかに宅建士証を提出しなかったりした
  2. 重要事項説明時の提示義務違反(宅建業法35条第4項):お客様に重要事項説明(重説)を行う際、請求の有無にかかわらず宅建士証を提示しなかった
  3. 名称の使用制限違反(宅建業法75条):宅地建物取引業協会(または連合会)ではない者が、自分の会社の名前やグループ名の中に「宅地建物取引業協会」「宅地建物取引業協会連合会」という文字を用いて営業等を行った場合
■ 罰金と過料の違い
1. 罰金(ばっきん)=「刑事罰」
裁判によって科される前科(ぜんか)がつく重い処分です。
ペナルティの性質:国家の刑罰権を発動する「刑事罰」です。
前科の有無:前科がつきます。
 
2. 過料(かりょう)=「行政罰」
役所の手続きをサボったことなどに対する前科がつかない軽い処分です。
ペナルティの性質:行政上の義務違反に対する「行政罰(秩序罰)」です。法律のルールや秩序を破ったことに対するペナルティ(イメージとしては駐車違反の反則金に近いもの)です。
前科の有無:前科はつきません。

両罰規定(宅建業法84条)

両罰規定とは、「実際に違法行為をした従業員(個人)」だけでなく、その従業員を雇って業務を行わせていた「会社(法人)や個人事業主(人)」も一緒に処罰するというルールです。

違反した宅建業法条文(事由) 行為者(従業員など)への罰則 法人(会社)への罰則 人(個人事業主)への罰則
79条(無免許営業・名義貸し等) 3年以下の拘禁刑or300万円以下の罰金、又は併科 1億円以下の罰金(84条1号) 300万円以下の罰金(各本条の罰金刑)
79条の2(47条1号:不告知・不実告知) 2年以下の拘禁刑or300万円以下の罰金、又は併科 1億円以下の罰金(84条1号) 300万円以下の罰金(各本条の罰金刑)
80条(47条2号:不当高額報酬の要求) 1年以下の拘禁刑or100万円以下の罰金、又は併科 100万円以下の罰金(各本条の罰金刑) 100万円以下の罰金(各本条の罰金刑)
81条(47条3号:手付貸付け、誇大広告等) 6ヶ月以下の拘禁刑or100万円以下の罰金、又は併科 100万円以下の罰金(各本条の罰金刑) 100万円以下の罰金(各本条の罰金刑)
82条(免許申請書の虚偽記載、専任宅建士不足等) 100万円以下の罰金 100万円以下の罰金(各本条の罰金刑) 100万円以下の罰金(各本条の罰金刑)
83条1項3号除く)(37条書面不交付、標識不掲示等)
50万円以下の罰金 50万円以下の罰金(各本条の罰金刑) 50万円以下の罰金(各本条の罰金刑)

宅建業者・宅建士等に対する宅建業法の罰則の種類と事由・罰金、両罰規定の典型問題と解説

【問1】宅地建物取引業の免許を受けずに宅地建物取引業を営んだ者は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金に処され、又はこれらが併科される。

解答:〇
無免許営業(宅建業法12条1項違反)に対する罰則は、宅建業法の中で最も重い「3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はこれの併科(宅建業法79条2号)」です。

【問2】宅建業者がその業務に関して、国土交通大臣が定めた報酬額の上限を超える報酬を相手方に要求した場合、実際にその報酬を受け取っていなくても、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、又はこれらが併科される。

解答:〇
不当高額報酬の「要求」行為は、宅建業法47条2号違反となり、「1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又はこれの併科(宅建業法80条)」の対象です。ポイントは「要求した時点」で成立し、受領の有無を問わない点です。

【問3】宅建業者が、手付金について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引した場合、6ヶ月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、又はこれらが併科される。

解答:〇
手付貸付けによる契約の誘引(宅建業法47条3号違反)に対する罰則は、「6ヶ月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又はこれの併科(宅建業法81条2号)」です。

【問4】事務所に置くべき成年者である専任の宅地建物取引士の数が法定の割合(5人に1人以上)を欠いたにもかかわらず、2週間以内に必要な措置を講じなかった宅建業者は、100万円以下の罰金に処される。

解答:〇
成年者である専任の宅建士が不足した際に2週間以内に補充等の措置を講じない行為(宅建業法31条の3第3項違反)は、「100万円以下の罰金(宅建業法82条2号)」に処されます。

【問5】宅地建物取引士が、重要事項説明(宅建業法35条)を行うに際し、相手方から請求されなかったため宅建士証を提示しなかった場合、10万円以下の過料に処される。

解答:〇
重要事項説明時の宅建士証の提示義務(宅建業法35条4項違反)を怠った場合は、「10万円以下の過料(宅建業法86条)」に処されます。相手方の請求の有無に関わらず提示が必要です。

【問6】宅建業者が、一団の宅地建物の分譲を行うために設置した案内所に、法律で定められた標識(業者票)を掲げなかった場合、50万円以下の罰金に処される。

解答:〇
事務所や案内所等への標識の掲示義務(宅建業法50条1項違反)に違反した場合は、「50万円以下の罰金(宅建業法83条1項2号)」に処されます。過料ではなく「罰金」である点に注意してください。

【問7】宅建業者の従業者が、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らした場合、50万円以下の罰金に処されるが、この罪は告訴がなければ公訴を提起することができない。

解答:〇
守秘義務違反(宅建業法45条、75条の3違反)に対する罰則は「50万円以下の罰金(宅建業法83条1項3号)」であり、被害者等からの告訴が必要な「親告罪(宅建業法83条2項)」と規定されています。

【問8】法人の従業者(営業マン)が、その法人の業務に関して無免許営業を行った場合、その行為者(従業者)が罰せられるほか、その法人に対しても1億円以下の罰金刑が科される。

解答:〇
両罰規定(第84条1号)により、法人の従業者がその法人の業務に関して宅建業法79条(無免許営業など)の違反行為をした場合、法人に対しては「1億円以下の罰金刑」が科されます。

【問9】法人の従業者が、その法人の業務に関して重要事項説明時に宅建士証を提示しなかったため10万円以下の過料に処される場合、その法人に対しても過料が科される。

解答:〇
両罰規定(宅建業法84条)が適用されるのは「刑事罰(罰金刑)」のみです。行政罰である「過料」には両罰規定の適用はないため、会社(法人)が連帯して過料を科されることはありません。

【問10】法人の従業者が、その法人の業務に関して正当な理由なく秘密を漏らした(守秘義務違反)場合、その行為者が罰せられるが、雇い主である法人に罰金刑が科されることはない。

解答:〇
両罰規定(宅建業法84条2号)において、宅建業法83条1項3号(守秘義務違反)の罪は明确に除外されています。個人のモラルに帰する漏洩であるため、法人に罰金は科されません。

宅建業者・宅建士等に対する宅建業法の罰則の種類と事由・罰金、両罰規定のひっかけ問題と解説

【問1】宅建業者が、物件の売買の勧誘をするに際し、相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項について、故意に事実を告げなかった場合は2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金に処されるが、故意に事実と違う嘘(不実)のことを告げた場合は1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金に処される。

解答:×
「事実を隠した(不告知)」場合も「嘘を言った(不実告知)」場合も、どちらも第47条号違反であり、罰則は一律で「2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(宅建業法79条の2)」です。「嘘の方が軽い(1年)」とするひっかけパターンですが、どちらも同じ重さです。

【問2】宅建業者が、国土交通大臣の定める限度額を超える報酬を実際に受け取った(受領した)場合、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金(又は併科)に処される。

解答:×
上限を超える報酬を「要求」した段階は1年以下の拘禁刑等(宅建業法80条)ですが、実際に「受領」した場合は100万円以下の罰金(宅建業法82条2号)に処されます(拘禁刑はありません)。「実際に受け取った方が刑が軽くなる(拘禁刑がなくなる)」という条文の妙を突いた難問です。

【問3】宅建士が重要事項説明の際に宅建士証を提示せず、10万円の過料に処された場合、その処分を受けた日から5年間は、宅建士の登録を削除され、新たに登録を受けることができない。

解答:×
免許や登録の欠格事由(5年間アウト)になるのは刑事罰である「罰金刑以上」です。重要事項説明時の提示違反による「過料」は行政罰であるため、前科にならず、登録の欠格事由にも該当しません。

【問4】宅地建物取引業協会ではない者が、その名称中に「宅地建物取引業協会」という文字を用いた場合、50万円以下の罰金に処される。

解答:〇
宅地建物取引業協会ではない者がその名称を使う行為(宅建業法75条違反)に対するペナルティは、「10万円以下の過料(宅建業法86条)」です。

【問5】宅建業の免許を受けていない者が、宅建業を営む目的で物件の広告(無免許広告)を行った場合、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金に処される。

解答:×
免許を持たずに実際に営業(取引)をした場合は3年以下の拘禁刑等(宅建業法79条2号)ですが、まだ営業をしていなくても、無免許の状態で広告や看板を出した(表示・広告)場合は100万円以下の罰金(宅建業法82条2号)となります。広告段階と営業段階で罰則の重さが分かれています。

【問6】宅建業者が、他人に自己の名義を貸して宅建業を営む旨の広告をさせた場合、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金に処される。

解答:×
営業をさせた場合は3年以下の拘禁刑等(宅建業法79条3号)ですが、他人に自己の名義で表示や広告をさせただけの場合は100万円以下の罰金(宅建業法82条2号)となります。

【問7】両罰規定(宅建業法84条)は、違反行為を行った従業員の雇い主が「法人」である場合にのみ適用されるため、宅建業者が個人事業主である場合、その従業員が業務に関して無免許営業を行っても、個人事業主本人が罰せられることはない。

解答:×
両罰規定は、法人のみならず「人(個人事業主)」にも適用されます。従業員が業務に関して違反をした場合、雇い主である個人事業主(人)にも罰金刑が科されます。

【問8】個人事業主に雇われている従業員が、その業務に関して重要事項の不告知(宅建業法79条の2違反)を行った場合、両罰規定により、行為者が罰せられるほか、雇い主である個人事業主に対しても1億円以下の罰金刑が科される。

解答:×
両罰規定(宅建業法84条1号)により、無免許営業や不告知の際に「1億円以下の罰金」に跳ね上がるのは「法人」だけです。雇い主が「人(個人事業主)」の場合は、「各本条の罰金刑(300万円以下の罰金)」が科されます。

【問9】宅建業者の事務所において、専任の宅地建物取引士が不足したため、2週間以内に宅建士の資格を有する17歳の従業員(婚姻はしていない)を新たに専任として配置した。この場合、2週間以内に補充の配置を行っているため、専任宅建士の設置義務違反による100万円以下の罰金に処されることはない。

解答:×
宅建業法31条の3第3項において、事務所等に不足した際に補充しなければならないのは、単なる宅建士ではなく「『成年者』である専任の宅建士」です。現在の法律では18歳からが成年者となるため、婚姻もしていない17歳の未成年者を配置しても、有効な補充(成年者である専任の宅建士の設置)とは認められません。そのため、2週間が経過した時点で設置義務違反となり、100万円以下の罰金(宅建業法82条2号)の対象となります。

【問10】宅建業者が免許を受けた後、営業保証金を供託した旨の届出を行う前に宅建業の営業を開始した場合、100万円以下の罰金に処される。

解答:×
営業保証金の供託・届出前に営業を開始する行為(宅建業法25条5項違反)に対する罰則は、「6ヶ月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、又はこれの併科(宅建業法81条1号)」です。単なる「100万円以下の罰金(宅建業法82条)」ではなく、拘禁刑や併科の可能性があるワンランク重い罰則になります。

<宅建士試験講座 宅建業法シリーズ>
宅建士試験講座 宅地建物取引業とは?宅地、宅建業、宅建業法上の事務所の定義

宅建士試験講座 宅地建物取引業の免許の種類、登録申請先、有効期間、宅建業者名簿、免許証、廃業等の届出

宅建士試験講座 宅地建物取引業の免許換え、みなし業者と無免許営業特例、無免許営業・名義貸しの禁止

宅建士試験講座 宅地建物取引業者の免許の欠格要件・欠格事項(宅建業法5条)

宅建士試験講座 宅建士とは?宅建士になるには?宅地建物取引士ができること

宅建士試験講座 宅建士登録の欠格事由.宅地建物取引士欠格要件(宅建業法18条1項)

宅建士試験講座 宅建業法18条1項(宅建士欠格)vs 5条1項(宅建業者免許欠格)の違い、条文対比

宅建士試験講座 宅建士登録申請と宅建士資格登録簿、登録変更、登録消除、登録移転

宅建士試験講座 宅地建物取引士証(宅建士証・取引士証)有効期間、提示、記載事項、書換え・再交付、返納・提出

宅建士試験講座 不動産業者・宅建業者の営業保証金とは?営業保証金の仕組み、供託、還付、取戻し

宅建士試験講座 不動産業者の保証協会の弁済業務保証金の仕組、弁済業務保証金分担金、供託、還付、取戻し・返還

宅建士試験講座 宅建業者の供託金 営業保証金と保証協会の弁済業務保証金(分担金)の比較、違いは?

宅建士試験講座 宅建業者の供託所等に関する説明義務.宅建業法35条の2

宅建士試験講座 宅建業法広告規制.誇大広告の禁止、広告開始時期、取引態様の明示義務など

宅建士試験講座 宅建業者の事務所・案内書要件、標識設置、従業者証明書・従業者名簿・帳簿

宅建士試験講座 不動産取引における仲介、媒介契約、代理契約とは?仲介と媒介、代理の違いは?

宅建士試験講座 不動産取引の媒介契約の種類.一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の違いは?

宅建士試験講座 不動産の売買・交換の媒介・代理契約書面(34条の2書面)の交付義務と記載事項

宅建士試験講座 不動産取引(売買・交換・貸借)での重要事項の説明義務(宅建業法35条)

宅建士試験講座 宅地(土地)・建物の売買・交換の重要事項説明書の記載事項(宅建業法35条1項、2項)

宅建士試験講座 区分所有権建物(マンション)売買・交換の重要事項の説明義務、重説の記載事項(宅建業法35条)

宅建士試験講座 土地(宅地)建物(未完成・区分所有含む)貸借の重要事項説明、重説の記載事項(宅建業法35条)

宅建士試験講座 区分所有権建物(マンション)貸借の重要事項の説明義務、重説の記載事項(宅建業法35条6項)

宅建士試験講座 不動産信託受益権売買の重要事項説明義務、重説の記載事項(宅建業法35条3項、50条の2の4)

宅建士試験講座 宅建業37条書面とは?書面記載事項、契約書との違い(宅建業法37条)

宅建士試験講座 宅建業者が自ら売主となる8種制限とは?宅建業法の8種規制一覧でわかりやすく

宅建士試験講座 宅建業者8種制限.他人物売買契約締結の制限(宅建業法33条の2)

宅建士試験講座 宅建業者8種制限.不動産クーリングオフ.事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等(宅建業法37条の2)

宅建士試験講座 宅建業者8種制限.損害賠償額の予定等の制限(宅建業法38条)

宅建士試験講座 宅建業者8種制限.不動産売買手付金の性質・額の制限(宅建業法39条)

宅建士試験講座 不動産取引の売買契約相手方が履行に着手後の契約解除(違約金?手形解除?)(民法・宅建業法)

宅建士試験講座 宅建業者8種制限.契約内容不適合責任(旧:売主の瑕疵担保責任)特約の制限(宅建業法40条)

宅建士試験講座 民法562条・566条と宅建業法40条契約不適合責任~数量・権利の不適合はどこ?~

宅建士試験講座 宅建業者8種制限.不動産(完成物件・未完成物件)売買の手付金等の保全措置

宅建士試験講座 宅建業者8種制限.宅地又は建物の割賦販売の契約の解除等の制限(宅建業法42条)

宅建士試験講座 宅建業者8種制限.不動産(宅地建物)割賦販売等の所有権留保・譲渡担保等禁止(宅建業法43条)

宅建士試験講座 宅建業者報酬額制限、消費税の取り扱い(宅建業法46条)

宅建士試験講座 宅建業法不動産売買・交換の媒介、代理の報酬・手数料.複数業者の時は?

宅建士試験講座 宅建業法低廉な空き家の売買・交換の媒介、代理の報酬・手数料の特例

宅建士試験講座 宅建業法不動産賃貸(貸借)の媒介、代理の報酬・手数料.複数業者の時は?

宅建士試験講座 宅建業法長期の空き家等賃貸(貸借)の媒介、代理の報酬・手数料の特例

宅建士試験講座 宅建士試験講座 宅建業法監督処分の種類、処分権者、監督処分の手続きの流れ

宅建士試験講座 宅建業者に対する監督処分(指示処分・業務停止処分・免許取消処分)

宅建士試験講座 宅建士に対する監督処分(指示処分・事務の禁止処分・登録の削除処分)

宅建士試験講座 宅建業者・宅建士等に対する宅建業法の罰則の種類と事由・罰金、両罰規定

タイトルとURLをコピーしました