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不動産売買では、引き渡された建物や土地に問題が見つかることがあります。
例えば、
・雨漏りがある
・シロアリ被害がある
・土地の地盤に問題がある
・建物設備が契約内容と異なる
といったケースです。
このような場合、買主は「契約で約束された内容と違う」として、売主に責任を追及できる制度があります。
これが「契約内容不適合責任」です。
以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、2020年の民法改正により、現在は「契約内容不適合責任」という名称に変わりました。
もっとも、契約自由の原則があるため、民法上は「売主は責任を負わない」といった特約を付けることも原則として可能です。
しかし、不動産取引では、専門知識を持つ宅建業者と一般消費者では知識量に差があります。
そこで、宅建業法では、宅建業者が売主となる場合について、買主に不利な特約を制限しています。
これが、宅建業法の「8種制限」の1つである、契約内容不適合責任の特約制限です。
この記事では、宅建業者8種制限の1つ「契約内容不適合責任(旧:売主の瑕疵担保責任)特約の制限」を解説します。
宅建業者8種制限.契約内容不適合責任(旧:売主の瑕疵担保責任)特約の制限
民法の定め(民法562条~564条、566条、572条)
1.契約内容不適合責任とは
売買した宅地・建物が、種類・品質・数量について契約内容に適合していない場合、買主は売主に対して一定の責任を追及できます。
これは民法562条~564条に定められています。
具体的には、買主は次の4つを請求できます。
(1) 追完請求(民法562条)
買主は、売主に対して不足や不具合を直すよう請求できます。
例えば、
・雨漏り修理
・不足設備の設置
・欠陥部分の補修
などです。
民法562条1項では、
・修補
・代替物の引渡し
・不足分の引渡し
による履行の追完を請求できるとしています。
ただし、売主に不相当な負担を課さない限り、売主は買主が請求した方法とは異なる方法で追完することも可能です(民法562条1項)。
また、不適合が買主の責めに帰すべき事由(買主のミスなど)による場合は請求できません(民法562条2項)。
(2) 代金減額請求(民法563条)
引き渡された宅地・建物に契約内容不適合がある場合、買主は代金の減額を求めることができます。
もっとも、いきなり代金減額を請求できるわけではありません。
民法563条1項では、まず買主が売主に対して、
・「修理してください」
・「不足部分を補ってください」
など、履行の追完を求める催告をし、それでも相当期間内に追完されない場合に、不適合の程度に応じて代金減額請求ができるとしています。
つまり、
① まず追完請求
↓
② 売主が対応しない
↓
③ 不適合の程度に応じて代金減額請求
という流れが原則です。
催告なしで直ちに代金減額請求できる場合
民法563条2項では、次の場合には、追完請求の催告をしなくても、直ちに代金減額請求ができると定めています。
ア.履行の追完が不能である場合(民法563条2項1号)
例えば、
・建物の重要部分が既に滅失している
・修補が物理的に不可能
などです。
この場合、そもそも修理等ができないため、催告は不要です。
イ.売主が追完を拒絶している場合(民法563条2項2号)
売主が、
・「修理しません」
・「対応しません」
と明確に拒否している場合です。
対応する意思がない以上、改めて催告しても意味がないため、直ちに代金減額請求できます。
ウ.一定時期までの履行が契約目的に不可欠な場合(民法563条2項3号)
契約の性質上、特定の時期までに履行されなければ意味がない場合です。
例えば、
・開業予定日に間に合う店舗引渡し
・入学時期に合わせた学生向け物件
などが考えられます。
必要時期を過ぎると契約目的を達成できないため、催告なしで代金減額請求が認められます。
エ.催告しても追完される見込みがないことが明らかな場合(民法563条2項4号)
例えば、
・売主に修繕能力がない
・必要部材が存在しない
・状況的に修補が不可能
などです。
この場合も、催告を要求しても意味がないため、直ちに代金減額請求が可能です。
催告なしで直ちに代金減額請求できる場合
民法563条3項では、
不適合が買主自身の責任によって発生した場合には、代金減額請求はできない
と定めています。
例えば、
・買主の不適切な使用
・買主による破損
などによる不具合については、売主に責任追及できません。
(3) 損害賠償請求(民法564条)
不適合によって損害を受けた場合、買主は損害賠償を請求できます。
例えば、
・仮住まい費用
・修繕費用
・引越費用
などです。
(4) 契約解除(民法564条)
契約目的を達成できないほど重大な不適合がある場合、買主は契約を解除できます。
2.責任追及には期間制限がある
民法566条では、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないと、原則として責任追及ができないと定めています。
ここで重要なのは、
・「引渡しから1年」ではなく、
・「不適合を知った時から1年」
という点です。
例えば、
・引渡し後3年経過
・その後に雨漏り発見
・発見後1年以内に通知
であれば、原則として責任追及できます。
ただし、売主が不適合を知っていた、または重大な過失によって知らなかった場合には、この期間制限は適用されません(民法566条ただし書)。
3.民法上は買主に不利な特約も可能
民法では契約自由の原則があるため、買主に不利な特約も原則として認められます。
例えば、
・「売主は契約内容不適合責任を負わない」
・「責任追及期間は引渡しから1年」
・「損害賠償請求はできない」
などの特約です。
これは民法572条を根拠としています。
ただし、
・売主が知りながら告げなかった事実
・売主自身が第三者に設定・譲渡した権利
については、責任免除特約があっても責任を免れることはできません。
宅建業法の定め(宅建業法40条)
1.宅建業法では買主保護が優先される
宅建業者が自ら売主となる場合、専門知識を持つ業者と一般消費者との間には情報格差があります。
そのため宅建業法40条では、民法より買主に不利な特約を禁止しています。
例えば、
・「一切責任を負わない」
・「損害賠償請求は禁止」
・「契約解除は認めない」
などの特約は認められません。
2.違反する特約は無効
宅建業法40条2項では、違反する特約は無効と定めています。
つまり、
「売主は責任を負わない」
という特約を付けても無効となり、民法のルールが適用されます。
3.期間についてだけ例外がある
宅建業法40条では、期間についてのみ例外を認めています。
具体的には、
「引渡しの日から2年以上」
とする特約は有効です。
有効な特約例
・「責任追及期間は引渡しから2年」
・「責任追及期間は引渡しから3年」
これは有効です。
無効な特約例
・「責任追及期間は引渡しから1年」
・「責任追及期間は引渡しから6か月」
これは買主に不利なため無効です。
無効となった場合は、民法566条に戻り、
「不適合を知った時から1年以内に通知」
というルールが適用されます。
4.なぜ2年以上なら認められるのか
契約内容不適合責任について、永久に責任追及を受け続けるのは売主に酷です。
そこで宅建業法では、
・買主保護
・売主負担の調整
のバランスを取るため、
「引渡しから2年以上」
であれば有効な特約として認めています。
宅建士試験講座 民法562条・566条と宅建業法40条契約不適合責任~数量・権利の不適合はどこ?~
宅建業者8種制限.契約内容不適合責任(旧:売主の瑕疵担保責任)特約の制限の典型問題と解説
【問1】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で宅地の売買契約を締結した。「Aが契約内容不適合責任を負う期間は、Bが不適合を知った時から2年間とする」旨の特約を定めた場合、この特約は有効である。
解答:×
年数だけ見れば民法の「1年」より長く買主に有利に見えますが、宅建業法40条の趣旨は「買主がいつ気づくか分からず売主の責任期間が確定しない」という売主の過大負担を解消するため、「引渡しから2年以上」という固定期間の特約のみを特別に認めたものです。したがって、起算点が「知った時」のまま期間を延ばす特約は、宅建業法40条の利益調整の趣旨に反し無効となります(無効の後は民法の「知った時から1年」に戻ります)。
【問2】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結した。「建物の品質に関する不適合の通知期間を、引渡しの日から3年間とする」旨の特約を定めた場合、この特約は有効である。
解答:〇
売主の責任期間を確定させるために起算点を「引渡しの日」に切り替え、かつ買主への配慮として最低ラインである「2年以上」を満たす「3年間」に設定しています。これは業法40条が認める「固定期間による利益調整」の型に完全に合致しているため有効です。
【問3】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で宅地の売買契約を締結した。「宅地の種類に関する不適合について、Bは引渡しの日から1年6ヶ月以内にAに通知しなければならない」旨の特約を定めた場合、この特約は有効である。
解答:×
起算点を「引渡しの日」に固定して売主の負担を減らそうとする試み自体は認められますが、その固定期間が「2年以上」という法定の最低ラインを下回っています。買主の利益が一方的に削られてバランスを欠くため、この特約は無効となります
【問4】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結した。「建物の品質に関する不適合の通知期間を引渡しの日から1年間とする」旨の特約を定めた場合、特約が無効となった後の売主の担保責任は、民法の規定(知った時から1年)に従うことになる。
解答:〇
宅建業法40条の固定期間ルール(2年以上)に違反した不適法な特約は「無効」となります。特約が無効になった部分は、業法の「引渡日から2年」に書き換わるのではなく、法律の根本原則である「民法の規定(知った時から1年以内に通知)」へと強制的に引き戻されます。
【問5】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で宅地の売買契約を締結した。「Aは宅地の品質に関する不適合について、いかなる理由があっても担保責任を一切負わない」旨の特約を定めた場合、この特約は有効である。
解答:×
「担保責任を一切負わない(責任の全面免除)」という特約は、民法566条が買主に認めている権利をすべて消滅させるものであり、民法の規定よりも明らかに買主に不利な特約です。したがって、宅建業法40条1項に違反してこの特約は無効となります。
【問6】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者Bとの間で宅地の売買契約を締結した。「Aは宅地の品質に関する不適合について、民法および商法の規定にかかわらず、いかなる場合も一切の責任を負わない」旨の特約を定めた場合、この特約は完全に有効である。
解答:×
宅建業者間の取引(プロ同士の売買)においては、宅建業法40条(8種制限)の適用は除外されます(宅建業法78条2項)。しかし、業法が適用されないからといって、売主の責任を完全にゼロにすることは許されません。取引には法律の一般原則である「民法」および「商法(商人間の売買規定)」が適用されます。民法572条の規定により、売主Aが宅地の不適合を「知りながら買主Bに告げなかった事実」については、たとえ一切責任を負わないという特約を設けていても、Aはその責任を免れることができません。また、業者間取引において民法・商法の契約不適合責任(債務不履行責任)を完全に排除して売主を無条件で完全免責することは、契約の本質や公序良俗・信義則の観点からも認められません。したがって、「いかなる場合も一切の責任を負わない」という特約は法律上、完全に有効とはならず、隠蔽された事実などに対して売主は責任を負うことになります。
【問7】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結した。「建物の品質に関する不適合の通知期間は引渡しの日から2年間とするが、買主が請求できるのは修補(追完請求)のみとし、契約の解除はできない」旨の特約を定めた場合、この特約は有効である。
解答:×
期間を「引渡日から2年」と固定して売主の負担を軽減する代わりに、その期間内は民法566条が定めている買主の権利(解除権など)を網羅的に認めなければなりません。期間だけを合わせて買主の重要な武器(解除権)を没収することは、利益調整のバランスを著しく損なうため特約全体が無効になります。
【問8】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で宅地の売買契約を締結した。「宅地に種類または品質に関する不適合があった場合、Bは追完請求や契約の解除はできるが、代金減額請求をすることはできない」旨の特約を定めた場合、この特約は無効となる。
解答:〇
民法563条・566条で買主に認められている「代金減額請求権」をあらかじめ特約で排除することは、業法40条が認める「期間の固定による調整」の範囲を超えて買主を一方的に不利にするため無効です。
【問9】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結した。Aは引渡しの時点で建物の品質に重大な不適合があることを知りながらBに告げずに引き渡した。この場合、「通知期間は引渡しの日から2年間とする」旨の有効な特約があっても、Aは責任を免れることができない。
解答:〇
売主が不適合を「知りながら告げなかった(悪意)」場合、民法572条により担保責任を免れることができません。業法40条の「引渡日から2年」という特約は、あくまで通常の不具合に対して売主の過大負担を減らすための制度であり、売主の信義誠実の原則に反する隠蔽行為(悪意・重過失)まで救済するものではないため、2年が経過した後でもAは責任を負います。
【問10】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で宅地の売買契約を締結した。「不適合の通知期間は引渡しの日から2年間とする。ただし、損害賠償の請求ができるのは引渡しの日から1年間に限る」旨の特約を定めた場合、この特約は無効となる。
解答:〇
通知期間のベースを「引渡日から2年」と置いて期間を固定しようとしても、その内訳として「損害賠償だけは1年」と買主の権利行使期間を個別に削っています。これでは売主への過度な優遇となり利益調整のバランスが崩れるため、特約は全体として無効になります。
宅建業者8種制限.契約内容不適合責任(旧:売主の瑕疵担保責任)特約の制限のひっかけ問題と解説
【問1】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で土地の売買契約を締結した。「売買対象である土地の面積が契約書に記載された数量より不足していた場合(数量に関する不適合)、Bは引渡しの日から1年以内に通知しなければ、Aに対して代金減額請求等をすることができない」旨の特約を定めた場合、この特約は有効である。
解答:×
実務・試験上、土地の面積不足といった「数量に関する不適合」も売買契約における契約内容不適合責任の対象であり、宅建業法40条が規定する特約制限(8種制限)の対象になります。宅建業法40条1項は、売主の法的地位を安定させる利益調整として「引渡しの日から2年以上」とする固定期間の特約のみを例外として認めています。本問の「引渡しの日から1年間」という特約は、この法定の最低ライン(2年以上)を下回っているため、買主に一方的に不利な特約として無効となります。特約が無効となった結果、原則である「民法の規定(知った時から1年以内に通知)」のルールに従うことになります。
宅建士試験講座 民法562条・566条と宅建業法40条契約不適合責任~数量・権利の不適合はどこ?~
【問2】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結した。「建物の品質に関する不適合について、BがAに責任を追及する場合は、物件の引渡しの日から2年以内に『書面』によって通知しなければならない」旨の特約を定めた場合、この特約は有効である。
解答:〇
契約内容不適合の通知において、方法を「書面」に限定することは、買主にとって「いつ、どのような不適合を確実に伝えたか」という証拠(証明)を容易に残せるメリットがあります。口頭での通知による「言った・言わない」の泥沼のトラブルを防ぎ、取引を安全に進めるための合理的な指定であるため、民法や業法の趣旨と比べても買主に一方的に不利な制限とは言えません。期間についても、宅建業法40条が定める「引渡しの日から2年以上」という固定期間の最低ラインをしっかりと満たしています。したがって、期間・方法ともに適法であり、特約は有効となります。
【問3】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で宅地の売買契約を締結した。「Aが契約内容不適合責任を負う期間は、売買契約締結の日から2年間とする」旨の特約を定めた場合、この特約は有効である。
解答:×
宅建業法40条1項ただし書が売主の責任を固定するために認めている起算点は、あくまで「目的物の引渡しの日」です。これを「契約締結の日」にすり替える特約は、実際の引渡しからカウントすると2年未満の短い期間になってしまう可能性が非常に高く、売主に有利に傾きすぎるため無効となります。
【問4】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結した。建物の品質に関する不適合について「Bは引渡しの日から2年間、損害賠償の請求のみをすることができ、修補請求や契約の解除はできない」旨の特約を定めた場合、期間が2年間であるためこの特約は有効である。
解答:×
「引渡日から2年」という固定期間の型だけを真似て、その期間内に使えるはずの買主の武器(修補請求権・解除権)を没収しています。売主の責任期間を明確にするバーターとして買主に2年の猶予を与えているのに、権利そのものを奪うのは利益調整の趣旨を逸脱しているため無効です。
【問5】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で土地の売買契約を締結した。売買対象である土地に他人の地上権が設定されており契約内容に適合しない場合(権利に関する不適合)について、「BがAに通知すべき期間を引渡しの日から2年間とする」旨の特約を定めた場合、この特約は有効である。
解答:×
宅建業法40条1項が、売主の責任期間を固定するために「引渡しの日から2年以上」の特約を例外的に認めているのは、目的物の「種類」または「品質」に関する不適合だけです。地上権や抵当権、賃借権などの「権利に関する不適合」には、業法40条の特例は適用されません。民法の原則において、権利の不適合には「知った時から1年以内」という短い通知期限そのものが存在しません(通常の消滅時効である「知った時から5年、引渡時から10年」の間であればいつでも権利主張が可能です)。そのため、本来なら長い間売主に責任追及できるはずの権利の不適合に対して、特約で「引渡日から2年間」と区切って責任を終わらせることは、民法の規定に比べて買主に著しく不利な特約となります。したがって、業法40条の救済枠(特例)に入らないため、単に「買主に不利な特約の禁止」に引っかかり、特約は無効となります。特約が無効となった後は、期間制限のない民法の一般原則(通常の消滅時効)に戻ります。
【問6】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結した。「建物の品質に関する不適合の通知期間を、引渡しの日から2年間、かつ、Bが不適合を知った時から半年の、いずれか早い方までとする」旨の特約は有効である。
解答:×
「引渡日から2年」という固定期間を設ける一方で、「知ったら半年」という民法(1年)より短い制限を二重に課しています。これでは売主の負担軽減という枠を超えて買主に過度な負担を強いており、宅建業法40条が目指す公平な利益調整の型を満たさないため無効となります。
【問7】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で宅地の売買契約を締結した。「宅地の品質に関する不適合について、Aが責任を負う期間は引渡しの日から1年間とする。ただし、Aがその不適合を知りながらBに告げなかった場合は、引渡しから1年が経過した後でも責任を負う」旨の特約は有効である。
解答:×
売主が「知りながら告げなかった(悪意)」場合に責任を免れないのは、民法572条が定める当然のルールです。それをわざわざ特約に書き添えたからといって、ベースとなる期間設定が「引渡日から1年」という業法の最低ライン(2年以上)を下回っている以上、売主救済の特例は適用されず無効となります。
【問8】宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結した。「建物の品質に関する不適合の通知期間を引渡しの日から1年間とする」旨の特約を定めた。この場合、あらかじめ甲県知事の承認を受けていれば、当該特約は有効となる。
解答:×
宅建業法の自ら売主制限(8種制限)において、「免許権者(知事や大臣)の承認・許可があれば、無効な特約が例外的に有効になる」という規定は一切存在しません。
【問9】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者であるCおよび業者でないBの2名を共同買主(持分各2分の1)として建物の売買契約を締結した。「建物の品質に関する不適合の通知期間を引渡しの日から1年間とする」旨の特約は、買主の1人が業者であるため、契約全体において有効となる。
解答:×
買主の中に1人でも「一般消費者(非業者)」が含まれている場合、その者を保護するために自ら売主制限が発動します。業者であるCに対しては有効に変えられても、非業者であるBに対して「引渡日から1年」は適用できず無効(民法の知った時から1年に戻る)となります。
【問10】宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結した。「建物の品質に関する不適合の通知期間を引渡しの日から1年間とする」旨の特約を定めた。Bがこの特約によって物件価格の大幅な値引き(減額)を受け、納得して自ら署名・捺印した場合、当該特約は有効となる。
解答:×
宅建業法40条は「強行規定」です。どれだけ買主が有利な条件(値引きなど)と引き換えに納得していたとしても、またどれだけ明確に合意して署名・捺印していても、法律が定めた「引渡日から2年以上」という調整ルールに反する特約は一発で強制的に無効となります。
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