宅建士試験講座 不動産の売買・交換の媒介・代理契約書面(34条の2書面)の交付義務と記載事項

宅建士(宅地建物取引士)

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不動産の売買や交換に関する媒介契約・代理契約を口頭だけで行うと、後になって「そんな説明は受けていない」「報酬の取り決めが違う」などのトラブルが発生しやすくなります。
そこで宅建業法は、宅建業者が売買・交換に関する媒介契約・代理契約(一般媒介を含む)を締結した場合、遅滞なく契約内容を明確にした書面を作成し依頼者へ交付、または、依頼者の承諾を得て、当該書面において証されるべき事項を電磁的方法であつて国土交通省令で定めるものにより提供する義務を課しています。

この書面が 宅建業法34条の2書面(媒介契約書面) です。
宅建試験でも頻出のテーマです。

重要なのは、この義務は売買・交換に限られ、賃貸の媒介契約は宅建業法上の書面交付義務の対象外である点です。

作成された書面には、宅建業者が記名押印する必要があります。
媒介契約の内容を明確にし、依頼者とのトラブルを未然に防ぐための重要な書面であり、ポイントは次の3つです。

  • 媒介契約書面は義務(34条の2)
  • 書面交付の相手は依頼者(売主・買主など)
  • 記載事項は9項目と決まっている

特に「記載義務の有無」「媒介の種類」「報酬額の記載方法」などがよく問われます。

媒介契約書面の記載事項 9項目

宅建業法34条の2により、媒介契約書面には次の9項目を記載しなければなりません。

  1. 宅地・建物を特定するために必要な事項
  2. 売買・交換すべき価額または評価額
  3. 媒介契約の種類
  4. 報酬に関する事項
  5. 媒介契約の有効期間、解除に関する事項
  6. 宅地又は建物の指定流通機構への登録に関する事項
  7. 媒介契約違反があった場合の措置
  8. 媒介契約が国土交通大臣の定めた標準媒介契約約款に基づくものであるかどうか
  9. 建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあつせんに関する事項

試験では「どの項目が必要か」「媒介契約書面と重要事項説明書との違い」などが問われやすいので、意味まで理解しておくことが重要です。

①宅地・建物を特定するために必要な事項

売買・交換の対象となる不動産を特定できるよう、所在地・地番・家屋番号などを記載します。
目的物が特定できないと契約内容が成立しないため、最重要項目です。

②売買・交換すべき価額または評価額

依頼者が希望する売却価格・購入価格、またはその評価額を記載します。

重要ポイント

  • 宅建業者が媒介価格について意見を述べる場合、根拠を示す必要がある
  • ただし 根拠は口頭で示せば足りる(書面不要)

③媒介契約の種類

媒介契約の種類を明確にします。

  • 一般媒介
  • 専任媒介
  • 専属専任媒介

種類によって依頼者の義務や業者の報告義務が異なるため、書面で明示する必要があります。

④報酬に関する事項

宅建業者が受け取る報酬額、またはその計算方法を記載します。
金額が確定していなくても、計算方法が明確であればOK です。

⑤媒介契約の有効期間、解除に関する事項

一般媒介契約の有効期間に制限はありませんが、専任媒介・専属専任媒介では「3か月以内」が上限で、更新は可能ですが自動更新は禁止です。

媒介契約は、専任・専属専任であっもいつでも解除可能(民法)ですが、正当理由なく解除 → 損害賠償の可能性があります。

⑥宅地又は建物の指定流通機構への登録に関する事項

どこの指定流通機構に登録するかを記載します。

指定流通機構に登録義務のない一般媒介契約書においても、指定流通機構に登録した場合は、登録の有無、指定流通機構の名称を記載します。

⑦媒介契約違反があった場合の措置

  • 依頼者が専属専任媒介で自己発見取引をした場合
  • 専任媒介契約において依頼者が他の宅建業者の紹介者と契約した場合

など、
依頼者または宅建業者が媒介契約に違反した場合の取り扱いを記載します。

⑧媒介契約が国土交通大臣の定めた標準媒介契約約款に基づくものであるかどうか

媒介契約書が、国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づくものかどうかを記載します。

国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づく必要はありませんが、標準約款はトラブル防止のためのモデルで、国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づくかどうかの記載は必須です。

⑨建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあつせんに関する事項

中古住宅(既存建物)の場合、

  • 建物状況調査(インスペクション)を実施する者をあっせんできるか
  • あっせんする場合の内容

を記載します。

建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況の調査であつて、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施するもの。
 この調査により、建物の劣化状態や欠陥の有無などを知ることができ、中古建物を安心して売買できます。

売買・交換の媒介・代理契約書面の交付場所

売買・交換の媒介・代理契約書面の交付場所はどこでもよく、宅建業者の事務所である必要はありません。

宅建士試験で出る34条の2媒介契約書面の典型的な問題と解説

【問1】宅建業者は、売買の媒介契約を締結した場合、34条の2書面を依頼者に交付しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:正しい
34条の2書面の交付義務は 売買・交換の媒介・代理契約のみ に適用される。賃貸は対象外。

【問2】34条の2書面には、宅地・建物を特定するために必要な表示を記載しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:正しい
所在地・地番など、物件を特定できる情報は必須。

【問3】媒介契約書面には、売買すべき価額または評価額を記載しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:正しい
依頼者の希望価格または評価額を記載する。
宅建業者が価格に意見を述べる場合は 根拠が必要(口頭でOK)。

【問4】媒介契約の種類(一般・専任・専属専任)は、書面に記載しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:正しい

【問5】媒介契約の有効期間は、一般媒介契約の場合、3か月以内でなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:誤り
3か月以内の制限があるのは 専任媒介・専属専任媒介のみ。
一般媒介は期間制限なし。

【問6】報酬額またはその計算方法は、34条の2書面に記載しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:正しい

【問7】媒介契約違反があった場合の措置は、34条の2書面に記載すべき事項である。
1. 正しい 2. 誤り

解答:正しい

【問8】媒介契約が国土交通省が定める標準媒介契約約款に基づくものであるかどうかは、書面に記載しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:正しい

【問9】既存建物の場合、建物状況調査(インスペクション)のあっせんに関する事項を記載しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:正しい

【問10】宅建業者は、賃貸の媒介契約を締結した場合、34条の2書面を依頼者に交付しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:誤り
34条の2書面の交付義務は 売買・交換の媒介・代理契約のみ に適用される。賃貸は対象外。

34条の2媒介契約書面のひっかけ問題の解説

【問1】宅建業者が媒介価格について意見を述べる場合、その根拠は必ず書面で示さなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:誤り
根拠は 口頭でもOK。

【問2】34条の2書面は、宅建士の記名押印が必要である。
1. 正しい 2. 誤り

解答:誤り
必要なのは 宅建業者の記名押印。
宅建士の押印は不要。

【問3】媒介契約書面には、重要事項説明で説明すべき内容もすべて記載しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:誤り
媒介契約書面と重説は別物。
記載事項も異なる。

【問4】媒介契約書面には、宅建業者が行う広告の具体的内容をすべて記載しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:誤り
広告の方法などは「その他省令事項」に含まれるが、具体的な広告内容までは不要。

【問5】媒介契約書面の交付義務は、代理契約には適用されない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:誤り
媒介だけでなく 代理契約も対象。

【問6】媒介契約書面は、電子交付することはできない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:誤り
電子交付可能

【問7】媒介契約書面の交付は、契約締結後、遅滞なく行えばよく、契約締結前に交付する必要はない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:正しい
媒介契約書面は 契約締結後に交付。
重要事項説明書のように「契約前」に交付する必要はない。

【問8】既存建物の売買の媒介契約を締結した場合、宅建業者は建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を34条の2書面に記載しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:正しい
既存建物(中古住宅)の場合は、
● 建物状況調査を実施する者をあっせんできるか
● あっせんする場合の内容
を記載する義務がある。

【問9】34条の2書面には、依頼者または宅建業者が媒介契約に違反した場合の措置を記載しなければならない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:正しい
「媒介契約違反があった場合の措置」は 法定記載事項。
宅建業者が報告義務を怠った場合の扱い
など、トラブル防止のために明記する必要がある。

【問10】宅建業者は、媒介契約を締結した場合、依頼者から受け取る報酬の額を確定して記載しなければならず、報酬の計算方法のみを記載することは認められない。
1. 正しい 2. 誤り

解答:誤り
34条の2書面では、
・報酬額そのもの
または
・報酬の計算方法
のどちらかを記載すれば足りる。
したがって、報酬額が確定していなくても、「売買価格 × ○%」など 計算方法の記載でOK。

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