宅建士試験講座 宅建業法監督処分の種類、処分権者、監督処分の手続きの流れ

宅建士(宅地建物取引士)

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宅地建物取引業は、土地や建物という高額な財産を扱うため、取引の安全性と消費者保護が特に重要視されています。
そのため、宅建業法では、宅建業者や宅建士が法令違反をした場合に備えて、「監督処分」の制度を設けています。

監督処分とは、行政庁が違反行為に対して是正や制裁を行う行政上の処分です。
処分には、軽いものから重いものまで段階があり、違反の内容や悪質性に応じて処分が選択されます。

宅建業法における監督処分は、大きく次の2つに分かれます。
・宅建業者に対する監督処分
・宅建士に対する監督処分

また、監督処分を行う際には、聴聞・公告・通知など一定の行政手続も必要になります。

この記事では、宅建業法における監督処分の種類、処分権者、処分手続の流れについて、根拠条文を示しながら分かりやすく解説します。

宅建業法 監督処分の種類・処分権者一覧

監督処分対象者 監督処分の種類 監督処分権者 根拠条文
宅建業者 指示処分 ・免許権者(国土交通大臣(地方整備局長又は北海道開発局長含む)又は都道府県知事)
・業務地管轄の都道府県知事
宅建業法65条1項・3項、78条の2第1項、宅建業法施行規則32条
業務停止処分 ・免許権者(国土交通大臣(地方整備局長又は北海道開発局長含む)又は都道府県知事)
・業務地管轄の都道府県知事
宅建業法65条2項・4項、78条の2第1項、宅建業法施行規則32条
免許取消処分 ・免許権者(国土交通大臣(地方整備局長又は北海道開発局長含む)又は都道府県知事) 宅建業法66条、78条の2第1項、宅建業法施行規則32条
 所在不明時の公告による免許取消し ・免許権者(国土交通大臣(地方整備局長又は北海道開発局長含む)又は都道府県知事) 宅建業法67条
宅建士 指示処分 ・登録している都道府県知事
・行為地管轄の都道府県知事
宅建業法68条1項・3項
業務停止処分 ・登録している都道府県知事
・行為地管轄の都道府県知事
宅建業法68条2項・4項
登録消除処分 登録している都道府県知事 宅建業法68条の2

宅建業者に対する監督処分

指示処分(宅建業法65条1項・3項)

指示処分とは、宅建業者に対して「違反行為を是正し、今後適正に業務を行うよう命令する処分」です。
比較的軽い処分ですが、行政処分であるため、宅建業者にとって大きな影響があります。

指示処分事由

宅建業者が次のような場合に、必要な措置をとるよう指示されます。

主な例
・宅建業務に関し取引関係者に損害を与えた場合
・宅建業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき
・宅建業務に関し他の法令に違反し、宅地建物取引業者として不適当であると認められるとき
などが対象になります。

業務停止処分(宅建業法65条2項・4項)

業務停止処分とは、一定期間、宅建業務の全部または一部を停止させる処分です。
営業そのものができなくなるため、宅建業者にとって非常に重い処分です。

業務停止処分事由

主な処分事由は次のとおりです。
・指示処分に違反した場合
・宅建業務に関し著しく不当な行為をした場合
・宅建業法に関し国土交通大臣又は都道府県知事の処分に違反したとき
などが対象になります。

免許取消処分(宅建業法66条・67条・67条の2)

免許取消処分とは、宅建業免許そのものを取り消す最も重い監督処分です。

必要的免許取消事由

「必ず取消しをしなければならない場合」です。

主な例
・不正手段により免許を受けた時
・業務停止処分事由に該当し、情状が特に重いとき
・拘禁刑以上に処せられたとき
などが対象になります。

任意的免許取消事由

「免許権者の裁量で取消しができる場合」です。

主な例
・条件違反による免許取消(宅建業法66条2項)
・公告による免許取消(宅建業法67条)
・営業保証金関係による免許取消(宅建業法25条7項)
などが対象になります。

宅建士に対する監督処分

指示処分(宅建業法68条1項・3項)

宅建士が宅建業法違反などをした場合、都道府県知事は必要な指示をすることができます
比較的軽い監督処分であり、将来の適正な事務処理を求める処分です。

指示処分事由

主な例
・名義の使用を許したとき
・事務に関し不正な行為をしたとき
・専任の宅地建物取引士別の事務所の専任の宅地建物取引士である旨の表示をすることを許したとき
などが対象になります。

事務禁止処分(宅建業法68条2項・4項)

事務禁止処分とは、一定期間、宅建士としての事務を行うことを禁止する処分です。
重要事項説明や重要事項説明書への記名など、宅建士業務を行うことができなくなります。

事務禁止処分事由

主な例
・指示処分違反
・名義の使用を許したとき
・事務に関し不正な行為をしたとき
などが対象になります。

登録消除処分(宅建業法68条の2)

登録消除処分とは、宅建士登録そのものを消除する最も重い監督処分です。

登録消除事由

主な例
・不正手段による登録
・事務の禁止の処分に違反
・不正手段により宅建士証の交付をうけたとき
などが対象になります。

監督処分の手続きの流れ(宅建業法69条、70条、71条の2)

■ 対象となる処分(すべて聴聞が必須)

宅建業法69条1項により、以下の処分は 必ず聴聞を行う。

●宅建業者
指示処分(65条)
業務停止処分(65条)
必要的免許取消(66条)
任意的免許取消(67条)
事務禁止違反の免許取消(67条の2)

●宅建士
指示処分(68条)
事務禁止処分(68条)
登録取消処分(68条の2)

👉 例外なく聴聞が必要。

■ 手続の流れ(宅建業法69条・70条)

1.処分権者による処分の検討

宅建業者 → 免許権者(国土交通大臣 or 都道府県知事)
宅建士 → 登録をした都道府県知事

違反事実の調査を行い、処分の必要性を判断する。

2.通知・公示(宅建業法69条1項)

処分を行う前に、
・処分の理由
・処分内容
・聴聞の期日・場所
を通知し、公示する。

3.公開の聴聞(宅建業法69条)

・原則公開
・意見陳述・証拠提出が可能
・聴聞主宰者が公正に進行

👉 宅建業法では必ず聴聞を行う。

4.処分の決定

聴聞結果を踏まえて処分を決定。

5.公告(宅建業法70条)

すべての監督処分について公告が必要。

6.本人への通知等

・処分通知
・関係機関への連絡
・宅建士証の返納命令(必要な場合)

国土交通大臣免許業者の特別手続(宅建業法71条の2第1項)

国土交通大臣は、
・指示処分(65条1項)
・業務停止処分(65条2項)
・必要的免許取消(66条1項9号)
の処分のうち一定の規定に該当するときは、内閣総理大臣に協議しなければならなりません(宅建業法71条の2第1項)。

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