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宅地建物取引士(宅建士)として登録するためには、試験に合格するだけではなく、法律で定められた「欠格事由」に該当していないことが必要です。
欠格事由とは、簡単に言えば「この条件に当てはまる人は宅建士として登録できません」というルールのこと。
宅建士は不動産取引の専門家として、重要事項説明などの重要な業務を担います。そのため、一定の信用性・適格性が求められます。
この記事では、宅建業法18条に定められた12の欠格事由を、宅建士受験生にも理解しやすいように1つずつ解説します。
宅建士登録の欠格事由(宅建業法18条)
宅建士試験合格者が宅建士の登録をしようとしても、次の12項目のいずれかに該当する人は、宅地建物取引士の登録ができません。
【第1号:行為能力のない未成年者】
宅建業の営業に関し、成人と同じ能力を持たない未成年者は登録できません。
法定代理人が欠格事由に該当するかどうかは関係なく、宅建士登録しようとする本人が宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者というだけで宅建士登録を受けられません。
なお、2022年4月の民法改正により、成人年齢が18歳に引き下げられたと同時に、「婚姻による成年擬制(みなし成人)」の規定自体が削除されました。
そのため、現在の試験対策としては「未成年者が結婚しても、それだけで法律上の成人(登録が可能になる状態)として扱う」という考え方は誤りとなります。
【第2号:破産者】
破産手続き中で、まだ「復権」していない人は登録できません。
復権(破産による制限が解除)すれば、即座に登録可能になります(5年待つ必要はありません)。
【第3号:不正などによる免許取消し】
以下の理由で免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者。
- 不正な手段で免許を取得
- 業務停止処分違反をし情状が特に重いとき
- 業務の停止の処分に違反
| 期間: | 取消しの日から5年間。 |
| 法人の連動ルール: | 法人が免許を取り消された場合、その取消しに係る聴聞(言い分を聞く場)の公示前60日以内にその法人の役員(※)だった人も、個人として取消しの日から5年間免許が取れません。 ※業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問、その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含みます。悪いことをした法人の裏には悪い役員がいて、その役員を野放しにしていたら、別の法人に移りまた悪いことをする恐れがあるため、これを防止しています。 |
【第4号:取消処分逃れの廃業届】
不正の手段により宅建業免許を受けたときや、1年以内の期間を定めた業務の全部又は一部の停止命令項目のいずれかに該当し、情状が特に重いとき又は業務の停止の処分に違反し、免許の取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に、個人が宅地建物取引業の廃止をし、その届出をし当該届出の日から5年を経過しない者。
病気や死亡、解散など宅地建物取引業の廃止について相当の理由がある者は除かれます。
| 期間: | 届出の日から5年間。 |
【第5号:廃業した法人の役員】
法人の宅建業者が宅建免許取消処分逃れの廃業届をした場合、免許の取消しに係る聴聞(言い分を聞く場)の公示前60日以内にその法人の役員(※)だった人も、個人として取消しの日から5年間免許が取れません。
※業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問、その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含みます。
| ポイント: | 会社を畳んで別の会社を作って逃げるのを防ぐためのルールです。届出から5年間は、その元役員は個人でも、他の会社の役員としてもアウトです。 |
【第6号:拘禁刑(禁錮・懲役)以上の刑】
拘禁刑(旧:禁錮・懲役)以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者。
| 執行猶予: | 執行猶予がついた場合、執行猶予期間が満了すれば、その翌日から免許を受けられます(5年待つ必要なし)。 |
【第7号:特定の罪による罰金刑】
下記の罪で「罰金刑」に処せられた場合、その刑の執行が終わり(罰金を完納し)、または執行を受けることがなくなってから5年を経過しない者。
- 宅建業法違反
- 特定の刑法:傷害罪、現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合・結集罪、脅迫罪、背任罪
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反
- 暴力行為等処罰に関する法律の罪
【第8号:暴力団員等】
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から5年を経過しない者
【第9号:登録の消除者等】
下記の事由により登録の消除の処分を受け、その処分の日から5年を経過しない者
| 宅建士証を持っている者 | (1)不正の手段で宅建士の登録を受けた (2)不正の手段で宅建士証の交付を受けた (3)宅地建物取引士としてすべき事務の禁止事項(※)のいずれかに該当し情状が特に重い (4)一定の事務の禁止の処分に違反した |
| 宅建士証を持っていない者 | (5)不正の手段で宅建士の登録を受けた (6)宅地建物取引士としてすべき事務を行い、情状が特に重い |
※
・ 宅地建物取引業者に自己が専任の宅地建物取引士として従事している事務所以外の事務所の専任の宅地建物取引士である旨の表示をすることを許し、当該宅地建物取引業者がその旨の表示をしたとき。
・ 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたとき。
・ 宅地建物取引士として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。
【第10号:登録の消除処分逃れの消除届】
第9号の6つの項目のいずれかに該当するとして登録の消除の処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に登録の消除の申請をした者(登録の消除の申請について相当の理由がある者を除く。)で当該登録が消除された日から5年を経過しないもの
【第11号:事務禁止処分中の登録消除】
事務禁止処分を受け、その禁止の期間中に自己申請により登録消除され、まだ事務禁止期間が満了しない者。
すなわち、事務禁止期間中は宅建士の再登録はできません。
【第12号:心身の故障】
心身の故障により宅地建物取引士の事務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの(※)。
※ 精神の機能の障害により宅地建物取引士の事務を適正に行うに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者(宅地建物取引業法施行規則14条の2)
宅建業法18条1項(宅建士欠格)vs 5条1項(宅建業者免許欠格)の違い、条文対比⇒こちら
宅建士登録の欠格事由(宅建業法18条1項)の典型的な問題と解説
【問1】道路交通法違反により「罰金刑」に処せられた者は、直ちに登録できるか?
解答:できる
罰金刑で登録不可になるのは、宅建業法違反や暴力的な罪などに限られます。禁錮以上なら罪種を問いません。
【問2】懲役1年・執行猶予2年の刑に処せられた者は、執行猶予期間中であっても登録ができるか?
解答:できない
執行猶予期間中は「刑に処せられている」状態と同じ扱いのため、登録はできません。
【問3】宅建業に関し営業の許可を受けていない未成年者は、登録できるか?
解答:できない
営業許可のない未成年者は登録できません。
【問4】破産手続開始の決定を受け、復権を得ていない者は登録できるか?
解答:できない
復権を得れば直ちに登録可能です。
【問5】免許取消処分を受けた法人の処分当時の「役員」だった者は、5年間登録できないか?
解答:できない
役員も法人と運命を共にします。
【問6】懲役刑に処せられたが、執行猶予期間が満了した者は、直ちに登録できるか?
解答:できる
猶予期間が満了すれば、刑の言渡し自体が効力を失うため、5年待つ必要はありません。
【問7】宅建業者(法人)が不正の手段により免許を受けたとして免許を取り消された場合、その取消しの原因となった事実に関心のなかった役員であっても、取消しから5年間は登録を受けることができないか?
解答:できない
法人が「不正免許取得」「業務停止処分違反」「情状が特に重い業務停止事由」で免許を取り消された場合、その法人の役員は、個人の責任の有無を問わず、一律に5年間の登録欠格となります。18条1項2号
【問8】宅建士として事務禁止処分を受け、その期間中に登録を自ら削除した者は、禁止期間が終わるまで再登録できないか?
解答:できない
禁止期間中は逃げ得を許しません。
【問9】暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者は登録できるか?
解答:できない
「元・組員」も5年間の制限があります。
【問10】精神の機能の障害により宅建士の事務を適正に行うに当たって必要な認知、判断等を欠く者は登録を拒否されるか?
解答:拒否される
個別に判断されます。
宅建士登録の欠格事由(宅建業法18条1項)のひっかけ問題と解説
【問1】過失致死罪により「罰金刑」に処せられた者は、5年間登録できない。
解答:×
罰金でダメなのは「暴力的な罪(暴行・傷害など)」「宅建業法違反」「背任罪」等です。過失致死の罰金はセーフ。
【問2】懲役1年、執行猶予2年の判決を受けた者は、判決確定の日から登録できる。
解答:×
猶予「期間中」は欠格事由に該当します。終われば即OKです。
【問3】免許取消処分を受けた法人で、専任の宅建士として勤務していた従業員は、5年間登録できない。
解答:×
制限を受けるのは「役員」です。単なる従業員(たとえ専任の宅建士でも)は責任を問われません。
【問4】免許取消処分の聴聞公示後に、相当な理由なく「廃業届」を出した法人の役員は、届出から5年経たなければ登録できない。
解答:〇
「駆け込み廃業」を防ぐための規定です。
【問5】破産手続開始の決定を受けた者は、復権を得た日から5年経過しなければ登録できない。
解答:×
破産者に「5年」という縛りはありません。復権すればその日からOKです。
【問6】道路交通法違反(ひき逃げ等を除く)により「禁錮」刑に処せられた者は、刑の執行終了から5年間登録できない。
解答:〇
「禁錮以上」であれば、罪種は関係ありません。スピード違反等の罰金ならセーフですが、禁錮ならアウトです。
【問7】役員の中に暴力団員がいる法人は免許を受けられないが、その役員個人が宅建士登録をすることは妨げられない。
解答:×
暴力団員本人は当然、登録の欠格事由に該当します。
【問8】暴行罪により「拘留」に処せられた者は、5年間登録できない。
解答:×
「拘留」は30日未満の拘束であり、「禁錮」より軽いため欠格事由になりません(罰金より軽い扱いです)。
【問9】婚姻した未成年者は、法定代理人から営業の許可を得ていなくても、宅建士登録ができる。
解答:×
2022年4月の民法改正により、成人年齢が18歳に引き下げられたと同時に、「婚姻による成年擬制(みなし成人)」の規定自体が削除されたため、「未成年者が結婚しても、それだけで法律上の成人(登録が可能になる状態)として扱う」という考え方は誤りとなります。
【問10】宅建士が事務禁止処分を受けた場合、登録を「取り消される」。
解答:×
「事務禁止」はカード(宅建士証)を使えなくなるだけです。より重い「登録の消除処分」とは別物です。
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