保育士が語る保育士資格試験独学の仕方、仕事のやりがいとしんどさ、収入、待遇リアル体験談

保育士

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「お子さん、まだ小さいんですね。熱を出した時などはどう対応される予定ですか?」
「三人も小さい子がいると、色々難しいですよね」

就職活動中、必ずと言っていいほど訊ねられる家族構成。
そうして、場に滲みはじめる不採用の気配。

肩を落として帰り道を歩いたことは、一度や二度ではありません。

子育て中であることがマイナス評価されてしまう現状に、やるせなさと悔しさを覚え、私は一念発起しました。

「ならば逆に、子どもがいることが強みになる仕事を選ぼう。子どもと関わることの意味や責任を知っている今の自分なら、きっと貢献できる」

そうして出会ったのが、保育士という仕事でした。

この記事では、三十半ばにして保育士を目指した私の体験談を、保育士資格試験の苦労、独学の仕方、実際働いてみて感じたやりがいとしんどさ、収入、待遇まで併せてお伝えします。

保育士の自負、誇り、やりがい

保育士の仕事に於いて、何より嬉しく、やりがいに思う点はやはり、子どもたちの成長を間近で見守ることです。

  • 人見知りだった子が駆け寄ってきて、抱きついてくれた朝の挨拶。
  • 入園時寝返りを打つのがやっとだった子が、よちよちと歩く背中を見守るお散歩。
  • 口を開けるだけだった子が、自分でスプーンを持って食べはじめたお昼ご飯。

子ども一人ひとりの成長の瞬間に立ち会える喜びは、言葉では言い表せません。

心を込めて向き合えば、子どもたちは小さな手のひらで、拙い言葉で、弾けるような笑顔で好意を返してくれます。何の掛け値も無しに、自分に向けられる純粋な「だいすき」に勝る報酬はありません。

また、保護者の方から「先生がいてくれて安心です」と声をかけていただいたときにには、喜びと誇らしさで胸が熱くなりました。

保育園が無ければ、保育士が居なければ、多くの親御さんは安心して働くことができないでしょう。

私たち保育士が、親御さんが安心して社会に出られる土台を創っているのだという自負があります。

子どもたちの成長を助けることで、社会全体の働き方を支えている——……代えが効かない役割を担っていることに、誇りとやりがいがあると考えています。

保育士の仕事のしんどいこと

しんどいこともたくさんあります。

まず、体力的な負担。

おんぶ紐や抱っこ紐を使いながら、さらにベビーカートを押して散歩に出かけたり、かけっこやゴム跳びといった外遊びに付き合ったりと、毎日が全身運動の連続です。子どもたちは予測のつかない動きをするため、転倒や事故を防ぐべく常に気を張っていることもあり、疲労は倍増します。

他にも、トイレ掃除や汚れ物の洗濯、部屋の床拭きといった子どもたちが快適に過ごせる環境を清潔に保つ業務も保育士の仕事なのですが……基本的にすべて肉体労働です。

精神面のプレッシャーも無視できません。

まだ言葉や道理が通じない子どもとの意思疎通は困難の連続ですし、自ら危険を理解できない命を預かる責任は重くのしかかります。

そして時には、保護者対応で頭を悩ませることもあります。

些細な出来事ひとつを伝えるにも、言葉選びに気を配り、保護者の受け取り方によくよく思いを巡らせながら話す必要があります。保護者の中には仕事と育児を両立する毎日の中で、心に余裕がもてない方もおられます。

お一人おひとりの事情を鑑みながら、時には相談相手として寄り添い、時には専門職として毅然とした対応をしなければなりません。そのバランスを取ることがとても難しいと感じています。

心身共に疲れ、家に疲労を持ち帰ってしまい、我が子に心配される日もあるというのが正直なところです。

保育士の収入・待遇

残念ながら、保育士の給与は決して高いとは言えません。

保育士の平均年収は約390万円(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」)。

一方で同じ子どもに関わる仕事である小学校教員の平均年収は約680万(「令和5年度地方公務員給与実態調査結果 第8表団体区分別、会計別、職種別、学歴別、経験年数別職員数及び平均年間給与(全地方公共団体 普通会計 小・中学校教育職)」)と、その差に驚く方もいらっしゃることでしょう。

福利厚生も一般企業の充実ぶりにはとても敵いません。

けれど、それでも続けたいと思えるのは、やはり子どもたちの存在があるから。

お金では得られない価値を、この仕事は日々与えてくれます。

それに、昨今では国も処遇改善に積極的ですので、保育士の未来は決して暗くないと思います。賃金引き上げやキャリアアップ支援の勢いが増してきている実感もあります。

保育士試験と保育士資格取得の難易度、やった勉強の仕方

保育士の資格は国家試験である「保育士試験」に合格さえすれば取ることができます。専門学校に行く必要も、実習に行く必要もありません。

試験は年に2回行われており、筆記試験が9科目と実技試験が2科目あります。

筆記はマークシート方式(1問5点)で出題されます。

各科目60点以上で合格となり、9科目全てに合格することが筆記試験の合格条件です。1科目でも基準に満たない場合は、その科目のみ再受験する必要があります。

【保育原理】
保育の理念や制度の基本が問われます。
私はこの科目を「とにかく条文丸暗記」と割り切り、根幹となる「保育所保育指針」を暗唱できるまで繰り返し音読しました。ネット上の聞き流し用読み上げ動画なども大いに活用し、耳から記憶に刷り込むことに注力しました。
保育者としての土台を学ぶ科目なので、抑えておくと他の科目理解にも繋がります。
9教科のうちで、まず最初に手をつけるべき科目だと思います。

【教育原理】
教育制度や法規について知識が問われる科目です。現行の法令だけでなく、江戸時代から現代までの教育の変遷について、歴史的な事柄も覚える必要があります。
私はこの科目が一番苦手でした。人物名や年号など覚えるべきことが多く、記憶が曖昧になりがちでした。重要事項を時系列に並べて簡単な年表をつくり、何がいつ、どう変わったのかを流れで覚えるように工夫して、なんとか理解を深めることができました。
単語だけを丸暗記していこうとすると混乱しやすいです。時代背景とセットに歴史の流れを追うことで、変化の必然性を理解することがとても大切だと感じました。

【社会的養護】
児童養護施設や里親制度など、保育所以外の児童福祉施設について幅広く学ぶ科目です。児童福祉の理念や法制度の理解に加えて、統計資料を読み取る問いも出題されます。
出題元となる「児童養護施設入所児童等調査」は政府ホームページより原本を印刷して、特徴的な数値にマーカーを引いて確認することをおすすめします。
グラフの数字を額面通り丸暗記しようとしてもうまくいきません。「何故この項目は、この数値になるのか」という理由を一つひとつ考察・理解しながら記憶に定着させることが重要だと感じました。
この科目は特殊な扱いで「教育原理」と同時合格しないといけないため、プレッシャーも大きかったです。多くの受験生にとって関門となっているので、確実に得点できるよう早めの対策開始が肝要です。

【子ども家庭福祉】
子どもを取り巻く家庭環境や社会的な支援制度について学ぶ科目です。子どもの貧困や虐待など、日常的にニュースで目にするような出来事が題材として登場します。
試験では保育現場での対応を想定した事例問題も多く出題されるため、単なる暗記ではなく「もし自分だったらどう関わるか」と考える力が求められます。子どもと家庭に寄り添う意識を常に念頭において取り組んでみてください。
私はこの科目の学習を通して、保育士として子どもと関わることの責任や、支援者としての視点を育てる大切さを痛感し、学習に一層身が入りました。

【社会福祉】
日本の福祉制度全般について扱う科目です。
生活保護、障害福祉、年金、介護保険など幅広い範囲が横断的に出題されるため、覚えることは多いですが、福祉の仕組みの全体構造を図解で捉えると理解しやすくなります。
制度や施設の関係性を図にまとめてみることで、それぞれの役割が整理され、記憶にも残りやすくなりました。また、学習を通して得た知識が、日常生活にも活かせるのがこの科目の特徴です。
お住まいの地域の広報誌などを通して、身近な地域福祉の現状について、支援体制や取り組みを調べてみると、より実感を持って学べると思います。

【保育の心理学】
乳幼児の発達段階や知覚・記憶の仕組みなど心理的変化について知識を問われます。
この科目は育児経験がとても活きました。「うちの子もこうだったな」と我が子の姿と照らし合わせながら学べたので、比較的とっつきやすかったです。
専門用語が多いのには尻込みしましたが、イラスト付きテキストの図解で理解を助けました。
年齢ごとの発達段階や人物・理論の組み合わせも、図や表を活用すると整理しやすく、記憶にも残りやすくなります。視覚的学習が効果的だと感じました。

【子どもの保健】
乳幼児の病気や予防接種、応急手当てなど、医学的な知識が求められる科目です。
保育現場や家庭でも役立つ実践的な知識も多いので、感染症予防の消毒方法や事故を防止する環境整備についてなど、是非実生活に結びつけて理解を深めてみてください。
試験対策とかたく構えず、生活に役立つ知識を身につける感覚で臨みましょう。
出題範囲も限られているので、過去問を中心に繰り返し学習すると良いと思います。

【子どもの食と栄養】
栄養素や月齢別の食事、アレルギー対応などが出題される科目です。
「今日の離乳食はどうだったかな?」と、実際の食事と照らし合わせながら学べるため、身近なテーマとして取り組みやすく感じました。
特に役立ったのは、栄養素と食材の関係をマトリクス化した図表です。私はそれを印刷してキッチンに貼り、調理の際に自然と意識できるよう工夫していました。
一方で、食事摂取基準値などの数字は暗記が必要なため、一問一答アプリや単語帳を使い、隙間時間に繰り返し覚えるようにしました。

【保育実習理論】
音楽・造形・言語など、実技に直結する知識が求められます。私は楽器の経験がなく、音符の読み方すらわからず大変焦りました。ネットで解説動画を探して、実際に音を聞きながら這々の体で習得しました。
私のように音楽と縁遠かった方は、基本知識を得るだけでも時間を要しますので、早めに取り組みはじめることをおすすめします。
また、著名な絵本作家・作品名をリストアップして、代表的なものは図書館などで実際手に取ってみると良いでしょう。色彩の原則や描画技法はしっかり押さえておくことで、実技試験にも自信を持って臨めるようになります。

実技2科目は音楽・造形・言語の3分野から2つを選択して、それぞれ課題曲の伴奏と歌唱、絵画表現、読み聞かせの技術を披露します。

このように保育士試験で問われる知識は、保育・教育・福祉・医療・食育・表現と多方面に渡ります。

私は市販の教材を使い、独学で試験に臨みました。当時は育児真っ最中で、金銭的な余裕も事前知識もなく選んだ道でしたが、かなり大変ではありました。

まとまった学習時間が取りにくく、一問一答アプリやYouTubeの聞き流し動画などを活用して「ながら学習」に励みつつ、子どもが寝ついた夜に1時間ほどテキストや過去問を読み込む日々を1年続け、ようやく合格にたどりついたというのが実情です。

保育士を目指す方へ

試験の概要をお伝えしたことで、難しそう、と弱気になってしまった方もいらっしゃるかもしれません。でも大丈夫です。

繰り返しますが、一度の試験で全科目に合格する必要はないのです。保育士は計画的・段階的に学習を進めていけば、必ず道が拓ける国家資格です。

私は過去問を繰り返し解くことで、頻出分野や重要な条文を自分なりに分析し、手探りで要点を見つけ出して暗記に励みました。

独学は安価な反面、要点を見抜いて情報を取捨選択する手間がかかるため、どうしても遠回りになってしまう部分があると感じました。

「少しでも早く合格して働きたい」「自分で計画を立てるのが苦手」と感じる方には、講座の利用も一つの選択肢だと思います。

講座では、近年の出題傾向の分析や要点整理を専門のプロが行ってくれるため、学習効率が大きく向上します。重要なポイントが体系的にまとめられているので、限られた時間を有効に使えるのは大きな魅力です。

例えば私のように育児や仕事と両立しながら学ぶ方にとって、こうしたサポートはとても心強いものになるでしょう。

子育て中の方や、社会人の方でも、保育士は目指せます。

保育士資格は名称独占の国家資格であり、一度取得すれば更新の必要がありません。
つまり、一生使える資格です。

その活躍の場は保育園に留まらず、学童保育や児童福祉施設、ベビーシッターなど多岐にわたります。近年では、オフィス内託児施設や美容室、歯科医院など、働き方の選択肢はますます増えていると感じます。

信頼性が高く、結婚・出産・引っ越しなどでライフスタイルが変わっても、全国どこでも通用し、あなたの働く道を支えてくれる資格。今は子育てや別の仕事に追われていても、将来もう一度働きたいと思ったとき、その手に確かな選択肢があるのは大きな安心です。

働き方を選び易く、就職に困らない。保育士資格はあなたの人生に可能性をもたらしてくれる、とても心強い支えになるでしょう。

是非、一歩踏み出して挑戦してみてください。

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