合格まで3年独学で保育士資格取得.保育補助として保育園で働きながら挫折しかけた試験と仕事の体験談

保育士

紹介予定派遣という形で保育園運営会社に入社しました。もともと保育に強い関心があったわけではありませんが、昔から子どもに好かれやすく、子どもと遊んでいると「保育士さんですか?」と尋ねられることがよくありました。

そういった経験から「もしかしたら自分に向いているのかも」と思って入社を決意しました。

仕事内容は、法人として十数園運営している保育園の管理です。スタッフの勤怠、スタッフ・園児募集。保護者へ配る園のしおりの作成、保育士の教育育成、行政とのやり取りなど多岐にわたります。

足りない保育士の代わりとして「先生」になりヘルプとして働くことも多々あります。

保育士になろうと思ったきっかけ

入社時の説明で、保育の知識がなければ現場から信頼を得ることが難しいため、保育士資格を取得しなければならないという会社の方針があると聞かされていました。

勉強が好きではなかったものの、過去に公務員試験を受け続けていたことがあり、ある程度の勉強慣れはしていたので「独学でもなんとかなるだろう」と考えていました。

まずは書店でテキストを購入し、通信講座は無理だった場合の保険として考えていました。また、会社も受験者向けにテキスト配布やサポートを行っているという話だったので、それも活用しながら勉強を進めるつもりでした。

本音を言うと、保育士になりたくて保育士になったというより「資格を取らざるを得ず、取ることになった」という方が正しいです。

3年かかった保育士資格の取り方と難易度

2月に入社したので、1年目は前期試験と8月にある神奈川県の地域限定試験を受けるチャンスがありましたが、自信がなく後期試験から受験。何故か当初聞いていた会社からのサポートの話は一切なく、独学での挑戦となりました。

テキストと過去問を使い、読みながら単元ごとに問題を解くという方法を繰り返した結果、1度目の試験で5科目(保育原理・子ども家庭福祉・保育の心理学・子どもの保健・保育実習理論)に合格しました。

しかし、同時期に受験した有名大卒の同期が一発合格したのを見て、実力差にがっかりしたのも正直なところです。

2年目以降は年に3回試験を受けるチャンスがありましたが。仕事量がぐんと増え、保育園への保育補助としてのヘルプや残業が日常的になったことで勉強時間が激減。休日も疲れ果てて休むだけの日々になってしまいました。

試験前に県でやっている無料の講習会に参加するなどの努力は続けましたが、勉強量は仕事の量に半比例して減っていきました。必死で時間を作って勉強した2年の後期(4度目)で1科目も受からなかったのに、逆に3年目前期(5度目)直前まで勉強を一切できず、合格率のかなり低い、2教科のうちどちらか不合格だともう片方も不合格になってしまう科目(教育原理と社会的養護)に合格することもありました。

3年目に、会社のサポート体制にようやく私も組み込まれることになりました。一発合格した同期がサポートの担当者となり、本社の社員として採用されていた私がサポートから抜けていることを見つけ、入れてくれたのです。おかげでわからない点を相談しながら勉強を進めることができました。

特にどんなに勉強しても覚えきれず苦手だった社会福祉は、過去問から出題傾向を読み取り、まとめの表を作り通勤時などに読むことで重点的に対策を行いました。

その結果、3年目神奈川限定(6度目)で1科目合格(子どもの食と栄養)。そして合格有効期限ギリギリの3年目後期(7度目)、ついに最後の科目(社会福祉)に合格できました。

筆記試験を全科目合格すると、2次試験は実技試験になります。3科目の(弾き語り・造形・言語)から2科目を選ぶことになっています。

私はピアノが弾けないため、造形と言語を選択。造形は得意なイラストが裏目に出て、背景やパースに凝りすぎてしまい保育向けに修正する必要がありましたが、言語は大きな問題もなかったので2科目とも一発合格。3年越しの努力がようやく実を結びました。

保育補助として働いて感じた保育士の「やりがい」

保育補助として現場に入る中で、特に心を打たれたのは子どもたちの素直な反応でした。知識もないままいきなり保育園のヘルプに行かされ、初めは戸惑いましたが、2歳児クラスで初対面にもかかわらず「せんせ、ごほんよんで」と膝に座ってくる姿に完全に心を奪われました。

何度かヘルプに入り一緒に遊んだりダンスをしたりするうちに、私を見かけると声を上げて喜んでくれるようになり、午睡時には「せんせ、足さすって」と指名されるように。

甘えてくれることが何よりの信頼の証だと思い、それに応えようと声掛けや年齢別の遊び方を周囲の先生方に教えてもらいました。つたない言葉で一生懸命私に話しかけてくれる子どもたちに「保育士っていいな」という思いが芽生えました。

4〜5歳児になるとコミュニケーション能力も発達します。

「おやつ食べたくないから食べない!」と言う子に「この後お外で遊ぶよ?お迎えが来て、ご飯ができるまでにペコペコにならない?」と問いかけると「そうだね」と納得して食べてくれ、会話だけで先を見通す力がついていることに年齢差を感じ、子供の成長に感動しました。

子どもとただ遊んでいるだけと思われがちな保育士ですが、子どもの成長のため遊びの中に様々な工夫をしています。手遊び一つとっても指先の動きが脳の発達への刺激になりますので、年齢ごとにできる手遊びも複雑になります。出来ることが増えると遊びも発展し、子どもたちも遊ぶことがどんどん楽しくなります。

いろいろな年齢のクラスに入り、間近に見ていることで子どもの成長についての理解が深まり、より子どもたちとのコミュニケーションを大切にするきっかけとなりました。

保護者の方からも、「先生は今日来るかな?って言いながら登園しているんですよ」と言っていただけて、非常にやりがいを感じました。

保育補助として働いて感じた保育士の大変なこと、しんどいこと

一番大変だと感じたのは「叱ること」です。

年齢によって対応も異なり、2歳児には気持ちを受け止めながら代弁するように。4〜5歳児には論理的に伝えなければ伝わりません。喧嘩やトラブルも多く、園ごとの雰囲気や子どもの個性の違いに戸惑うことも多々ありました。

特に複数の園に日替わりでヘルプに入ることが多かったため、それぞれの園の方針や担任の先生の方針、子どもたちの性格を把握するまでが大変で、「この対応で合っていましたか?」と常に周囲に確認しながら動いていました。

保育補助としては、誰にでもできる雑務は率先して引き受け、担任の先生が動きやすいように場を整えておきます。クラス内の先生との連係プレーが必須になってきますので、先生達との打ち合わせなどはしっかりとしなければいけませんし、何か子どものことで気になることがあったらすぐに共有することも必要です。

小さなことでも子どもの安全のために必要なものがたくさんあります。お散歩に行く前、到着時、帰園前、帰園後の点呼。給食の配膳時のアレルギー児に対する対処や午睡時の呼吸チェック、感染症が流行り始めたらおもちゃや壁の消毒…毎日神経を張り巡らせることばかりで、慣れるまではとてつもなくしんどい日々でした。

最初の頃は保育士の先生たちは背中に何個目があるのだろうと思うほど、自然に子ども達の様子をしっかりと見られていたので尊敬したものです。

保育士の収入・待遇面について

運営部として勤怠管理に関わっていたため、全保育園のスタッフの残業状況などはある程度把握しています。弊社は残業には事前申請が必要で、基本的には制限されており、残業する場合は別の日に早上がりするなどして調整が可能です。

持ち帰りの仕事は保育園業界ではよくあるようですが、弊社は一切禁止。壁面飾りなどは印刷を外注し、先生の負担を軽減していますし、連絡帳や午睡チェックはiPadのアプリを使うことによって、できるだけ手間がかからないようになっています。

給与面では、弊社は他園より若干高めではありますが、一般企業に比べるとまだまだ足りないのが実情です。お子様の命を預かるという仕事の対価にしては安いという、全国的な声そのままとなっています。

それでも処遇改善加算(認可保育園に対して保育士の技術や経験に応じた国からの補助金で、基本給とは別に支給)や、各自治体からの補助金はしっかりと給与や保育園の設備に反映させています。

認可の保育園では、利益を出し儲けてはいけないので、給与を上げて欲しいという思いは自治体や国へ向けるしかありません。

保育士を目指す方へのメッセージ

資格を取れて、保育士としても保育園運営としても働いている今は「取っていて損はなかった」と思うことが多いです。
もしかしたら定年退職後でも保育園やベビーシッターとして働けるかもしれません。

知識も資格もなかった私を少しずつ『先生』にしてくれたのは、子どもたちです。

現場で子どもたちと触れ合う中で、子どもの成長を間近で見守れ、その成長を日々の遊びの中で促せる保育士の尊さを実感しました。

年中時代に何度もブランコを押してあげていた子に、年長の卒園間際「年中さんの時に先生がブランコいっぱい押してくれたから、今は僕、ひとりで立ち漕ぎも出来るようになったんだよ~」と言われたとき、1年前の些細なことを覚えていてくれたんだという気持ちと、それを言葉にして伝えてくれたということに感動して、その場で泣いてしまいました。

保育園は家庭に代わって、一日の半分近くを過ごす場所です。子どもにとっては第二の家と言ってもいいかもしれません。そこで毎日子どもたちがいかに楽しく快適に過ごせるかを保育士は常に考えています。

「保育園大好き!」「お迎えもう来たの?まだ帰りたくない!」と言われると、心の底からホッとします。

私は資格取得まで3年かかり、仕事と両立するには時間も気力も体力も必要でましたが、子どもたちの笑顔に支えられ、頑張り続けられたのだと思います。

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